ここ数年で住みたい街ランキングの上位に急浮上してきた「赤羽」。人気のきっかけとなった漫画やドラマの影響からか、メディアでは“呑兵衛の聖地”として紹介されることが多く、昼間から飲める街としてお酒好きを中心に注目度が高まっているようです。お酒が好きなら、この街に住むのも“検討する価値あり”かもしれません。
そこで今回は、噂の実態を調査すべく、赤羽の情報誌「赤羽Styles」の編集長でもある北区観光協会の杉山さんに、赤羽で昼飲みをする際のポイントやおすすめスポットについて伺いました。
赤羽といえば、ディープな飲み屋スポットというイメージですが実際のところはどうなんでしょうか?
「あちこちでそういう取材を受けることが多く、確かにメディアで紹介されるような有名店はどこも個性ある昔ながらの店ばかりですが、そういった店の多くが、本来の『居酒屋』とはちょっと違う立ち位置になっています。このあたりには昔から工場やタクシー会社が多く、もともとは夜勤明けの人が仕事終わりに食事を取る店として生まれた店なんです。世間では朝でも彼らにとっては『夜ご飯』。なので食事と共にちょっと一杯ひっかけたくなるのも当然ですよね。
そんな彼らの需要を受けて、店でも早い時間からお酒を提供するようになったというわけです。だから逆に普通の居酒屋のゴールデンタイムには店を閉めている場合がほとんど。繁華街の飲み屋とはちょっと時間の配分が違うんですよ。
また、そういう店の多くは小学校の通学路に位置しており、店の経営者も地元の名士が多く、なかにはPTAの会長までいます。そんなこともあってか、もともと酷い酔っ払いの入店を断っている場合が多く、飲む場合も一人何杯までと決められていたりします。大勢でワイワイ騒いで呑んだくれたりする店ではなく、美味しいつまみと共に軽くひっかける程度に飲むのが粋な飲み方だと思いますね。泥酔して他人に迷惑をかけたりする人もいませんから、女性一人でも気軽にちょい飲みを楽しんでもらえると思います」
庶民派というイメージが大きいですが、安くて美味しいというのは本当ですか?
「もともと居酒屋というよりは食事がメインの店ですから美味しいのは当たり前です(笑)。例えば某漫画の中でも紹介された『まるます家』は鰻屋。鰻が美味しいのはもちろんですが、鯉やナマズ、スッポンなど、珍しい高級魚も庶民派価格で楽しむことができます。それ以外にもメニューの数は常時100種類以上。一人暮らしの方が毎日台所代わりに利用してもメニューに飽きることはないと思いますよ。
次にメディアでもよく紹介される『丸健水産』はおでんの店です。手作りの練り物はどれも美味しく種類も多いので、迷ったらおでん4種にお酒がついたおトクなセットを頼むのがおすすめですね。ほかに日本酒をおでんだしで割った『だし割り』というメニューも人気。半分くらい飲んだワンカップを持っていくと熱々のだし汁を入れてくれます。寒い日にはたまらないですよ。
OK横丁にある『八起』は炉端焼きがメインの居酒屋。串物は5本で400円と格安で、ホルモンメニューもどれも絶品です。そのほか、焼きとんで有名な『まるよし』や立ち飲みの『いこい』など、おすすめの店をあげればきりがありませんが、どこも平均して21時から22時くらいが閉店時間。夜遅く来ても店じまいの時間ですから、赤羽で飲むなら昼がおすすめですね」
若者が一人飲みも大丈夫そうですか?
「もともと夜勤明けの方が一人で行くための店ですから、むしろ一人飲みの方が自然なくらい。大勢で騒いでるような人の方が少ないですよ。メニューも一人用の小ぶりサイズになっていますから、いろんなメニューを楽しめると思いますね。
また、土地柄から子連れの家族客も多いのが特徴です。
せんべろとは言いますが、千円でベロベロ酔っ払っている酔っ払いなんかほとんどいません。女性一人でも安心してちょい飲みを楽しんでいただけると思います」
一人暮らしをする際の住み心地はどうですか?
「メディアではいわゆるディープな飲み屋街として紹介されることが多く、年齢層の高いイメージもあるかもしれません。でも昨年から赤羽台に東洋大学のキャンパスが開校したこともあり、最近では若者向けのお店もどんどん増えています。
北区は子育て支援にも力を注いでおり、ファミリーに住みやすい街としても人気上昇中です。交通の便もよく、スーパーなども充実していますから一人暮らしの若者なら、結婚した後もそのまま住んでもらえる街だと思います。また、さっきも言った通り、昔ながらの店に立つ人のほとんどは地元の有志や小学校のPTA役員など。わからないことがあったら気軽に話しかけてみてはいかがでしょうか?」
取材協力:杉山徳卓(まちづくり北株式会社)
東京北区観光協会の事務局長。
赤羽駅周辺の情報を扱うフリーマガジン「赤羽Styles」の編集長でもある。
http://prkita.jp