これからオリンピックの開催に向けて、数が増えていくと予想される民泊。そこで心配になってくるのが、近隣トラブルです。迎え入れる側としては、戸惑うこともあるかもしれません。今回はそんな中で起きたトラブルの疑問について、不動産・住生活ライターの高田七穂さんにお話を聞きました。
Q 隣にいろいろな人が連日、泊まっていて騒音がひどい。民泊かもしれないがどうしたらいい?
A 不特定多数の人が出入りして、騒音などの迷惑を感じているなら、まず管理会社や大家さんに連絡しましょう。その際、状況を説明し、冷静に困っていることを伝えるのがポイントです。
民泊かどうか明らかではない場合、そのことも伝えます。「お隣に毎晩、いろいろな方が泊まっているようです。民泊かもしれないと思ったのですが違うかもしれないと考えて、少しお伝えするのを迷っていました。連日、騒ぐ声がうるさいんですが、対応をお願いできないでしょうか」などと落ち着いて伝えてみましょう。
近年、訪日外国人や観光客の増加などからホテル不足が問題になり、空き部屋や空き室を宿泊者向けに提供する“民泊”が増えているのは事実です。こういった例が民泊であってもそうでなくても、騒音で近隣に迷惑をかけている場合は苦情として伝えたいものです。ただ、もし民泊で、なおかつ疑問に感じる点があれば、法律に違反している可能性があります
2018年6月に「住宅宿泊事業法(民泊新法)」と呼ばれる法律が施行されました。これで、民泊や旅館業法の許可を取って事業を行うか、東京都大田区や大阪市など国家戦略特区内で認定を得て行う特区民泊以外は、法に違反する行為となりました。
民泊が「民泊新法にか、旅館業法か、特区民泊のいずれかに該当しており違法ではない」という確認をするには、「民泊制度ポータルサイト」を見てみましょう。概要が明記されています。とくに民泊新法による許可を得ていれば、標識が掲げられているのでわかりやすくなっています。
民泊の標識がないのに不特定多数の旅行者のような人が出入りしており、特区民泊でも旅館業法の許可も取得していないことが疑われる場合、すぐに大家さんや管理会社に伝えるようにしましょう。なかなか動いてもらえない場合は、保健所や警察、自治体にも連絡してみましょう。民泊新法の施行後、すでに警察が無許可営業を摘発した例があります。
高田七穂(たかだ なお):不動産・住生活ライター。住まいの選び方や管理、リフォームなどを専門に執筆。モットーは「住む側や消費者の視点」。書籍に『絶対にだまされない マンションの買い方』(共著)『マンションは消費税増税前に絶対買うべし!?』(いずれもエクスナレッジ)など。「夕刊フジ」にて『住まいの処方銭』連載中