秋は、新米の季節。収穫の秋と呼ばれるだけあって、全国で美味しいお米が出回ります。せっかくなら良い炊飯器でご飯を炊いてみてはいかがでしょうか? そこで、一人暮らしに最適な炊飯器の選び方や最新情報をヨドバシカメラマルチメディアAkiba 家電コンシェルジェグループリーダー 松岡大介さんに伺いました。
炊飯器を買いに行くと、IH炊飯器、圧力IH炊飯器、マイコン炊飯器など種類がいろいろあるのですが、どんな違いがあるのでしょうか?
「端的に言えば、火力の違いです。マイコン炊飯器は、内釜の下面にのみヒーターがあり、下から熱を加えてお米を炊くようになっています。炊飯量が多くなるとやや炊きムラが出ます。それに対して、IH炊飯器は、電磁力の力で内釜全体が発熱するようになっているため、強い火力で炊飯できるのが特徴です。炊飯量が多くても炊きムラが発生しません。 圧力IH炊飯器はIH炊飯器に圧力を加えて炊き上げるため、より強い火力で短時間に炊き上げることができます。また、圧力をかけることにより、お米に甘みや弾力感を出すことができます。
火力に比例して価格も電気消費量もマイコン、IH、圧力IHの順に高くなりますが、その分炊きムラも少なく、美味しいご飯を炊くことができます。ただ、一人分のお米を炊くのに、それほど炊きムラの心配もありませんから、ご予算に合わせて生活スタイルにぴったりな炊飯器をお選びいただくのが一番だと思います」
では一人暮らしにおすすめの炊飯器を教えてください。
「よく『土鍋で炊いたご飯は美味しい』と言われますが、それに劣らない本格ご飯が炊けるのが、タイガーの『土鍋IH炊飯ジャー 炊きたて』。名前の通り内釜が本土鍋で作られているため、遠赤外線効果でお米の芯まで熱が入り、一人分の少ない量でも美味しく炊き上がります。同じシリーズで、1ランク安いものに通常の内釜を土鍋風にコーティングしたものもあります。内釜の種類で味も変わりますので選ぶポイントにしてください。上位モデル『THE炊きたて』は完全に土鍋を炊飯器に入れて炊くような作りです。こちらには土鍋用の蓋もセットになっているので、炊き上がったあとは内釜を取り出してテーブルにおけば、本当に土鍋そのものとなります。
象印の『極め羽釜』シリーズもおすすめです。これは内釜の側面に羽釜のような羽がついていて、そこにヒーターが密着して火力を入れるため、炊飯時に対流を作ってお米にムラなく火を通すことでふっくらもちもちの炊き上がりになります。また、パナソニックの『おどり炊き』シリーズもおすすめです。こちらは炊き方に特徴があり、強い圧力により釜底から泡を出して対流を起こすことで文字通りお米を踊らせるように炊くことにより、お米一粒一粒に均等に熱が通るようになっています。お米に甘みが出るので、炊き込みご飯の好きな方におすすめです」
最近は”炊飯器料理”みたいな米を炊く以外の使い方をする人も多いようですが、そういうことをしても機能には問題ないのでしょうか?
「問題ないと思います。興味がある方には最初から『調理モード』機能がついている炊飯器も多くあり、蒸し、焼き、発酵、温泉卵と作るものによって温度の調節ができる商品があります。
なかでも面白いのはタイガーの『tacook』という商品です。お米を炊く内釜の上にクッキングプレートを載せられるようになっていて、お米と一緒におかずも作れるという一人暮らしにぴったりの多機能炊飯器です。こちらの内釜も先に紹介した『炊きたて』と同じ土鍋コーティングになっているので、お米の炊き上がりもワンランク上の美味しさです。その日の献立が一度にでき上がるだけでなく調理器具が1台で済むので節電にもなり、一人暮らしの方に大変人気があります」
炊飯器を使用する際に気をつける点などはありますか?
「よく、内釜を洗う際にゴシゴシと力を入れてこすってしまう方がいますが、炊飯器の内釜はコーディングが施されているため、強くこするとコーティングが剥がれてしまいます。剥がれてしまうとお米が内釜にくっつきやすくなり、美味しさが半減してしまうので優しく洗ってください。 あと基本的には炊き上がりが一番美味しく、保温時間が長くなればなるほど美味しさが落ちてきます。食べ残したご飯は面倒でも容器やラップなどで包んで冷凍保存をしたほうが美味しく食べられます。生活スタイルで長く保温したい方には東芝の『真空IH保温釜』シリーズがおすすめです。40時間保温しても美味しさが持続するという優れものです。とはいえ、やはりお米は炊きたてが一番だと思います。今の炊飯器は1合からでも十分美味しく炊けますので、時間のある方は毎回炊飯するのがおすすめです」
取材協力:ヨドバシカメラマルチメディアAkiba 家電コンシェルジェグループリーダー 松岡大介さん