10月9日、「東(10)」「急(9)」にあたるこの日、東京急行電鉄が「開通90周年記念イベント 10月9日池上線フリー乗車デー」を開催した。利用者は駅で配られる「1日フリー乗車券」を手にすることで、無料で池上線に乗車できた。
この日、沿線で開催されるさまざまなイベントに参加できるように、池上線全駅で乗降り自由の「1日フリー乗車券」を配布することになった。普段は3両編成の電車が走る短い生活路線でありながらも、地元住民に愛される戸越銀座などの商店街や洗足池などの自然、池上本門寺といった名所・旧跡などの魅力があふれており、その魅力に触れ、沿線の活性化をめざそうとするものだ。
池上線フリー乗車デーの開催に合わせ、東急電鉄は「生活名所」プロジェクトを始動。沿線住民のくらしに役立ち、毎日を豊かにするスポットを紹介することになった。
当日は朝8時から、蒲田駅改札口付近にてセレモニーが行われた。蒲田駅長の高塚豊氏は、池上線を「生活の足として利用されている地域密着路線」とアピールし、雑誌『街の手帖 池上線』編集長の針谷周作氏は「今日一日、池上線の良さを伝えるためにがんばりましょう」と挨拶した。セレモニーには高塚氏・針谷氏をはじめ、各商店街の名店店主らが集まった。セレモニー参加者自ら「1日フリー乗車券」とパンフレットを配布し、路線の、街の魅力のアピールに努めた。
高塚氏は「街が円熟している」と池上線沿線を評価し、「古いものと新しいものが合わさって駅が元気になる」と、路線と駅の未来への展望を語った。
この日は「1日フリー乗車券」の提示で洗足池のボート無料や、コロッケ引換券の無料配布などの特典も。他にも、縁台将棋大会やスタンプラリーなどのイベントが行われた。当日は多くの駅に乗客が殺到し、列車に乗りきれない人も発生。ホームへの入場規制がかかるような状態になった。
電車を1日無料で利用できるのは、首都圏の鉄道事業者ではきわめて稀なケース。池上線フリー乗車デーをきっかけに、沿線の魅力が多くの人に伝わることになるだろうか。