新橋~横浜間で1872年10月14日に鉄道が開業したことを受け、毎年10月14日を「鉄道の日」と定め、各地で記念行事などを開催している。この「鉄道の日」に合わせ、全国の鉄道事業者も10月以降、車両基地の一般公開や特別列車の運行など趣向を凝らしたイベントを開催するケースが多い。毎年欠かさず参加している、お気に入りのイベントがあるという鉄道ファンもいるかもしれない。
そこで、前回の「『SLやまぐち号』35系客車は『ココがすごい!』」に続き、本誌で執筆中の鉄道ライター4名(井上孝司さん、小林拓矢さん、杉山淳一さん、新田浩之さん)にアンケートを実施。10月以降に開催される鉄道関連のイベントで「このイベントに注目している」「このイベントはぜひ行ってみたい」と思うものはあるか、聞いてみた。
「鉄道フェスティバル」は「見ているだけで楽しい」(小林拓矢さん)
小林拓矢さんは「鉄道の日」の注目イベントとして、「ありきたりですが、日比谷公園で行われる『鉄道フェスティバル』です」とコメント。「第24回 鉄道フェスティバル」は10月7・8日の2日間、東京・日比谷公園を会場に開催された。鉄道事業者や関連団体、協賛企業がブースを出展し、『新幹線変形ロボ シンカリオン』などのステージイベントも行われたという。「全国各地の鉄道事業者が集まり、さまざまなグッズが販売されています。お金に余裕のない人でも、見ているだけで楽しいものです」と小林さんは言う。
例年、「鉄道の日」にちなんだイベントは10月上旬の3連休に開催されることが多かったが、今年は「鉄道の日」当日が土曜日のため、10月7~9日の3連休に加え、10月14・15日にイベントを開催する鉄道事業者も目立つ。小林さんは各地のイベントにも目を向け、「ぜひお近くのイベントに行ってみてください」「イベントには多くの人が集まります。それだけ鉄道に人気があるということをよく感じますね」と述べた。
鷲宮保守基地の特別公開「レール交換システムREXSが初登場!」(井上孝司さん)
井上孝司さんは「個人的に気に入っているイベント」として、10月14日に鷲宮保守基地(埼玉県)で行われる新幹線工事用車両の特別公開を挙げ、「普段は真夜中にしか動いておらず、滅多に姿を見ることができない保守用車を間近で見ることができる希有なイベント。しかも今年はレール交換システムREXSが初登場!」と説明する。今年のイベントでは、REXSの他にポイント融雪装置(温水噴射式・空気噴射式)も初公開されるという。
一方で「今年はモノレール関連のイベントが多いという印象があった」と井上さん。10月8日「東京モノレールまつり」、10月21日「ちばモノレール祭り2017」、11月18日「多摩モノまつり2017」、11月25日の大阪モノレール車両基地見学会(事前抽選制)など、10~11月に各地でイベントが開催される。「モノレールはメカ的に面白いところが多いので、軌道や台車まわりを間近で見ることができれば楽しそう」(井上さん)とのことだった。
入出庫線など「普段乗れないルートを通る列車に乗りたい」(杉山淳一さん)
杉山淳一さん注目のイベントは、10月8・9日に小坂鉄道レールパーク(秋田県)で開催される「小坂・鉄道まつり2017」、10月14日に運行される「上越新幹線35周年記念号」、はとバスが企画・実施する「ゆりかもめ車両基地見学と東京湾ランチクルーズ」(11月13・18・20日出発)の3つ。小坂鉄道レールパークは寝台特急「あけぼの」で活躍した24系客車を宿泊施設として活用しており、「小坂・鉄道まつり2017」では「あけぼの乗車体験」が行われる予定。「あけぼの客車に乗りたい。泊まりたい」と杉山さんも期待を寄せる。
「上越新幹線35周年記念号」はE2系10両編成で東京駅から新潟駅まで運行され、新潟駅から新潟新幹線車両センター(同日に一般公開を実施)へ体験乗車も。「ゆりかもめ車両基地見学と東京湾ランチクルーズ」も、車両基地から有明駅まで入出庫線の体験乗車が見所のひとつとなっている。「乗り鉄としては、車両基地の入出庫線に乗れたり、貨物線を走ったり、普段乗れないルートを通る列車に乗りたいです」(杉山さん)とのことだった。
大井川鐵道E34「機関車の復活劇を見て元気をもらいたい」(新田浩之さん)
1987年生まれ、神戸在住の新田浩之さんは、「最も魅力を感じたイベントは、10月15日に大井川鐵道で開催される『E34特別列車と撮影ツアー』です」とコメント。理由のひとつに「元西武鉄道の機関車が見られること」を挙げ、「存在は知っていましたが、関西に住んでいるため、この目で西武の機関車を見られませんでした。今回、風光明媚な大井川鐵道で復活すると聞き、とてもワクワクします」と説明した。
もうひとつの理由は大井川鐵道に譲渡されたE31形(E32~E34)の製造年。「1986~1987年にかけて西武所沢車両工場で製造されました。私自身が1987年生まれなので、同年になります。最近、1980年代後半に製造された車両が引退を迎えることが多く、少し寂しい思いをしています。私の誕生年に製造された機関車の復活劇を見ることで、元気をもらいたいという思いがあります」と新田さんは言う。「西武E31形デビュー記念 E34特別列車と撮影ツアー」では、E34が旧型客車2両と展望客車を牽引し、新金谷~千頭間を往復するほか、当日お楽しみの「サプライズ撮影会」も行われるとのことだった。
今回は鉄道ライター4人に10月以降の注目イベントを尋ねたが、ここで紹介したのはごく一部。実際には紹介しきれないほど多数のイベントが全国で開催されており、「魅力的なイベントが多いため、ひとつに絞るのに苦労した」と指摘を受けるほどだった。鉄道関連のイベントについては、各鉄道事業者のサイトでも概要が発表されている。興味のあるイベントがあればチェックし、ぜひ実際に会場に足を運んで、鉄道の魅力を体感してほしい。
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