--現在、AIが注目されていますが、今後、AIを導入する予定はありますか?

Tintriが目指すのは、Storage as a Serviceのような世界です。それを実現するキーの1つがAIです。例えば、スマートフォンを使ってストレージに「IOPSはどのくらい?」と問いかければ「3万IOPSです」などと答えてくれる。単なるステータスの報告だけではありません。「VMが遅いんだけどどうすればいい?」と聞けば「ストレージ領域を広げればいいですよ」と答えてくれます。トラブルシューティングやビジネスプランニングに利用できるようになるのです。

現在は、Slackを使ってそうした新しい管理方法のテストを続けています。実際に動いていて、2018年の第1四半期には正式にリリースできる予定です。AIについてはもう1つ、自己診断への活用を進めています。Tintriが自分で自分を診断して、障害を予測したり、ビジネスプランの提案を行ったりするようになります。ですから、開発の視野はストレージを超えたところでも向かっているということです。

--最近は仮想化にほかに、Dockerなどのコンテナ技術も注目されています。Tintriは今後、コンテナにも注力していくのでしょうか?

今回も、Amazon S3へのバックアップ、ストレージに加えてコンピューティングリソースまで含めたアナリティクス、クオータ管理、コンテナ機能のTechPreviewなどを発表しました。

なかでも、コンテナは最も重要なテクノロジーの1つです。現在VMでサポートしている機能のすべてをコンテナ環境でサポートする予定です。すでにVMware上にインテグレートされたコンテナ(VMware vSphere Integrated Containers)とは会話できるようになっています。まず2018年第1四半期にベアメタル環境のネイティブのコンテナと話せる機能をベータ提供する予定です。

ただ、実際にユーザーの話を聞くと、コンテナ市場はまだアーリーステージにあります。VMwareの取り組みやOpenStackの取り組みなどを見ながら、製品を着実に作っていく予定です。

--NVMeなどへの対応はどうですか?

私の下にチームを作って対応を検討しています。ただ、商用化にはまだまだ多くの時間がかかるという印象です。性能、信頼性、導入意欲のどれも機が熟していません。サーバ側のSCSIがNVMeに変わることはあるかもしれませんが、ストレージのFCがNVMeに早急に移行するということはないでしょう。

--いま一番興味深いテクノロジーは何でしょうか?

ストレージ分野で一番深いのはTintriですよ(笑)。それ以外で、というのなら、パブリッククラウド環境とのインテグレーションに興味を持っています。Amazon S3やIBM Cloud Object Storage、Azureなどとつなぐことがそうです。

我々が持っている根源的な疑問は「人々はストレージをどう使いたいと思っているのか」です。人々は一企業では手に負えないような巨大データを効率的に取り扱うためにパブリッククラウドを使いたいと考えるようになった。だから今回、S3などと接続できるCloud Connectorを提供したのです。これからも、コストエフェクティブでより生産性が上がるものを技術的に提供していきます。私の興味関心もそこにあります。

--日本のユーザーの声を聞いて、機能強化しているそうですが、実際にこれまでどんな機能に反映されていますか?

リアルタイムにデータを複製するSynchronous Replicationがそうです。米国ではそれほどニーズがなかったのですが、ビジネス拠点が地理的に狭い日本や欧州では、100km圏内でデータを複製したいというニーズが高かった。それで対応しました。マルチテナンシーのクオーター管理もそうです。日本ではサービスプロバイダーが多く、クオーター管理の要求が高かった。それで対応しました。

Synchronous Replicationの自動フェイルオーバー

--今後の新機能のロードマップを教えていただけますか。

2017年第四半期に対応するものとしては、EC6000シリーズでのドライブ単位での拡張、Tintri VMStoreのUIと管理ツールTintri Global Center(TGC)の画面の統合、TGCでの複数システムの一括アップデート、TGCでの統計情報のリアルタイム表示などがあります。

また、2018年の第1四半期に対応するものとしては、Synchronous Replicationの自動フェイルオーバー機能、FIPS 140-2暗号化への対応、AIによる自然言語を使ったセルフサービス機能、コンテナ対応、アナリティクスの強化、S3 Connectorの強化などがあります。

FIPS 140-2対応

自然言語でのTintriを管理できるようになれば、コマンドもAPIもUIすら知る必要がなく、VMをデプロイできるようになります。エンドユーザーが気軽にデプロイできるシステムを作ろうとしています。

ロードマップ

2018年第2四半期以降では、データベースに特化したTintriストレージを提供しようとしています。Tintriが持つすべての機能がデータベースに対応し、データベースの認識、可視化、スナップショット、レプリケーション、クローン、QoS、パフォーマンスのアイソレーションなどを実行できるようします。最初にサポートするデータベースはSQL Serverになる予定です。また、データベースだけでなく、ファイルベースのTintriやSMB向けTintriも今後発表していこうと思っています。

CPUやメモリなどコンピューティングリソースの可視化

ありがとうございました。