このところ、スマートフォンやタブレットの影響で「若者のPC離れ」なんていわれるPC。しかし、学校教育でもPCが活用されているほか、2020年にはプログラミング教育が必修化され、ますます子どもにとって切っても切れないデバイスになる。子どもにPCを選ぶときにどんなことがポイントになるだろうか。デジタル機器に詳しいライターの方々に「もし自分の子どもにPCを選ぶなら」ということでいろいろと考えてもらった |
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子どものためのPC選び――まさに私が直面している課題です。なぜなら、私の娘は来年大学へ進学する年齢。大学に入るとなれば、学校へ持って行く彼女専用のノートPCが必要になります。
ここで自己紹介をすると、私はスマートフォンやSNSに関する記事を書くことが多いライターです。「子どもにいつスマホを持たせるべきか」「スマホの利用制限やフィルタリングはどうすべきか」といった記事はよく書いていますが、PCに関しては一般の人より少し詳しい程度です。
娘は中学生でガラケーを持ち、高校に入ると同時にiPhoneとべったり。「PCはフリックで文字入力できないから嫌い」という世代です。初めてのPC体験は、日立製作所が2000年に発売した「FLORA-ieアニメスタジオ」というお絵描きPC。マウスやキーボードに不慣れな人に向けてペンで入力することを提案した、当時としては先進的なPCです。
FLORA-ieは私の仕事でお借りしていたPCで、あとは私のPower Macでゲームをする幼少期でした。いまは、私が10年前に買ったお下がりのノートPCで、音楽CDを取り込んでiPodに入れたり、必要なときにWordで文書を作ったりしています。このノートPCはHDDの空き容量がほぼなく、すべての動作が遅いため、大学に進学せずとも乗り換え先を購入したい状況です。
大学生のPC選びは文系/理系が関係する
ところで、最近の大学入試は「WEB出願」が主流なのはご存じでしょうか。以前は入試要項の送付を大学に申し込み、受け取った用紙に記入して郵送するという手順でした。WEB出願では、PCやスマートフォンから大学のサイトへアクセスし、入力フォームに名前や住所を入力、スキャンした証明写真の画像をアップロードします。完成したフォーマットを印刷し、コンビニ払いで振り込んだ受験料の領収を添付して郵送します。
つまり、大学入学前にインターネットに繋がったPCかスマートフォン、スキャナー付きプリンターが必要になるのです。ざっと見た感じでは、PCのみ、もしくはPC推奨の大学が多いので、スマートフォンで乗り切ることは厳しいかもしれません。もし、家にWEB出願できる環境がないのであれば、年内に購入するという選択肢もありますね。
大学生のPC選びで重要な点は以下の3つでしょう。
- 文系か理系か美術系か
進学先の学科によってPCの用途が変わります。講義の内容で幅がありますが、文系ならインターネットで調べたことをWordやExcelにまとめる程度です。理系であればプログラミングやグラフィック処理も必要になるかもしれませんが、専攻によるでしょう。美術系であれば、卒業後デザイン系の企業に就職を見越して、Macを中心に選ぶと良さそうです。とはいえ、どの学科も基本的にはレポート制作が主な用途です。
- 4年間持つか
入学時にPCを買っても、もっとも使うのは3年生以降の研究室やゼミ、卒業論文の時期です。そのころでもしっかり動作するスペックを選びたいところです。また、常に持ち歩くため落下による破損や飲み物をこぼして故障する可能性も高いでしょう。スマホの画面を割った経験があるお子さんなら、保証も含めて考えた方がよさそうです。
- 重量は? 価格は? ハイスペックはどうする?
講義で使うテキストやノート、スマホ、モバイルバッテリーなど、大学生の持ち物はどうしても重くなります。女子学生の場合、いくら荷物が多くても毎日ゴツいリュックで通う訳にもいかないので、重量は優先順位の高いポイントです。ざっくりいうとPCのスペックが高くなればなればなるほど重くなり、軽量でハイスペックとなると高額になります。バランスを見てPCを選択する必要があります。
また、大学生のPCといえば、大学生協で販売される推奨PCやカスタマイズPCも気になります。入学前なので推測になってしまうのですが、生協で買うメリットは生協でPCサポートを受けられることや電源コード類を借りれる点が大きいようです。「他の生徒と同じPCの方がいいのでは」と考えるかもしれませんが、生協で数機種扱っていることも珍しくないので気にしないでいいでしょう。
生協ならではの割引や限定モデルがある大学もあります。生協に限らず、学生向けの割引クーポンを発行しているメーカーもあるので、どこで買うのがもっとも安くお得なのか、ある程度機種を絞ってから価格を比較して購入するといいですね。
娘にも意見を聞いてみたら - インスタ映えしなくていいの?
私の娘は文系に進学する予定なので、WordやExcelが操作できるぐらいのPCにします。破損に関しては、今までスマホも落としたことはないので、保証を手厚くする必要はなさそうです。
PCのスペックは、通学時間が長くなるので軽さを重視してあげたいと考えました。とはいえ「それなりにディスプレイのサイズが大きくなければ作業しづらいし」「処理速度が遅いといらいらするし」などとつい自分を基準に考えてハイスペックなPCばかりに目が行きましたが、価格を確認すると当然高額です。
息詰まったところで、娘の意見を聞くことを思い出しました。娘としては、あまり重くないこと、いまのWindows PCで行っている「CDをiTunesで取り込む」作業と保存済みの楽曲データが移行できること、できればデザインは白がいい、と言っています。
ですが、ドライブ付きにすると重量が重くなります。白い色のPCも少なめです。CD取り込みは家以外ですることはないだろうから外付けドライブを繋いでもらうことにして、白は「あれば」と回答しておきました。
そんなことより母が気になるのは、「MacBook Airを持ってスタバでインスタ映えしないでいいのか」という点でしたが、念入りに確認したところ、「何言ってるの。撮影小物を買うんじゃなくて、勉強道具を買うんでしょ」と一蹴されました。私の教育が良かったようですが、少し寂しいのはなぜなのでしょうか。
いま娘に買うならこの3機種
購入すべきPCの条件が絞り込めたところで、実際の機種を選んでみます。具体的なスペックは、液晶サイズが13型以上、CPUはCore i5以上、ストレージはSSD、メモリは4~8GB、重量は約1.3kg以下を基準にすることにしました。操作に慣れていることと、就職後を考えてWindows PCにします。Officeはバンドルしていなければ別途購入します。価格は15万円前後を目安にしました。
意外だったのが、Microsoft Surface Laptopはメーカーが学生優待プログラムを用意しており、タイプカバーを付けても予算内で買えること。しかしWindows 10 Sなので、万が一Windowsストアにないソフトを学校指定されると困るため外しました(Windows 10 Proに移行する手段もありますが)。
軽量でバリバリ動きそうなノートPCばかりで母が欲しくなりました。私の気持ちはさておき、大学生活は自分の好きな学科をとことん勉強できる貴重な時期です。相棒となるPCはその子に合った機種を選んであげたいですね。