毎日、お米をとぐ時に出る「お米のとぎ汁」。そのまま捨てると環境汚染につながると言われているものの、再利用の方法が分からず、そのまま捨ててしまっている人も少なくないのではないでしょうか。そこで今回は、お米のとぎ汁を掃除や台所の後片付けに活用する方法を4つ試してみました。
今回、使ったお米のとぎ汁は、とぎ始め~2回目のすすぎまでのものです。できるだけ白い色が付いた状態のものを使用しました。とぎ汁はボウルや洗い桶などに入れておいてもいいのですが、ペットボトルなどにストックしておくと、用途に応じた量のとぎ汁を使うことができます。
プラスチック容器の臭い消しに
プラスチック製の容器に、ニンニクなどを使ったにおいの強い料理やカレーなどスパイスを使った料理を入れておくと、なかなかにおいが容器からとれないことがありますね。においが容器に残っていると、次の料理に移ってしまいそうで、使うのを躊躇(ちゅうちょ)してしまう人も少なくないのではないでしょうか。
お米のとぎ汁は、プラスチック製の容器のにおいを消す効果があると言われています。そこで今回はキムチを入れた容器にお米のとぎ汁を入れ、においがきちんととれるのか検証してみました。
キムチを入れて1週間経った容器です。全部食べ終えた後、台所用洗剤で洗いましたが、においは完全にとれません。そこで、容器にお米のとぎ汁を入れて一晩放置しました。
翌朝、とぎ汁を捨てて洗ってみたところ、においは完全にとれていました。水ですすぐと、とぎ汁特有のにおいも感じられません。漂白剤を使って消臭するという方法もありますが、お米から出るとぎ汁なら、より安心して使えそうですね。
食器の油汚れをきれいにする
お米のとぎ汁は、油汚れを落とす働きがあると言われています。しかし、洗剤を使わずに、食器に付いた油を落とすことができるなんて本当なのでしょうか。そこでスパゲティミートソース(市販のレトルトミートソースを使用)を食べ終わった後のお皿を、とぎ汁で洗ってみることにしました。
お皿に付いたミートソースの汚れをボロ布などでふきとります。そのお皿を、とぎ汁を入れた洗い桶に入れ、数回こすると、油汚れが落ちました。水ですすぐと、べと付きもなく、洗剤を使ったのと同じような洗い心地です。
では、べっとりとミートソースが付いたお皿ではどうでしょうか。さすがにこれは落ちないだろうと思いましたが、洗い桶に皿を浸し、こすること十数回。予想に反してスルッと汚れが落ちたのにはびっくりです。
もしかしたら、食べたミートソースは、油分が少なめのものであったのかもしれません。そこで次に、1kg分の鶏肉を揚げ、数日間放置した使用済み油をお皿にたらし、とぎ汁で洗ってみることにしました。油は茶色く変色し、サラダ油よりも粘度が増しているようです。
べとべとに付いた油は、とぎ汁でこすってもヌルヌルするだけで全然とれません。そうこうしている間に、お皿の裏側まで油が広がってしまい、手に負えない状態になってしまいました。もう、台所用洗剤の力を借りるしかないと思っていたところ……。
なんと、しばらくすると、お皿から油が浮き上がった感触に変わっていきました。水ですすいで触ってみると、油のベトベトした手触りは全くありません。油の種類(動物性・植物性)や料理などによって、とぎ汁で洗える油汚れには限界があるのかもしれませんが、油分が少なく、食器の枚数が少ない場合、十分使えるテクニックだと思いました。
とぎ汁のペーストで蛇口のレバーを磨く
お米のとぎ汁をしばらく放置しておくと、下の方に沈殿物が溜まります。上澄みを捨てて、沈殿物を触ってみるときめが細かく、とてもなめらかな感触です。次はそのペースト状の沈殿物を利用して、水あかがついた台所の蛇口のレバーを磨いてみることにしました。
沈殿物をボロ布に付け、軽くこすります。クレンザーのようなザラザラした感触ではないため、きれいに磨かれているのか不安ですがそのままこすり続けました。その後、水で流してみます。
水でとぎ汁ペーストを流してみると、びっくり! レバーのくすみは取れ、磨く前とは違った輝きです。頑固な水あかがついた部分は、やはりクレンザーでないと落ちないようですが、日常的なお手入れとしては、お米のとぎ汁ペーストは、十分力を発揮していると感じました。
床のそうじに再利用
昔から伝わるお米のとぎ汁の再利用方法として、「とぎ汁で床を磨く」というものがあります。木の床をお米のとぎ汁を含ませた布で拭くと、床がピカピカになるというものです。とぎ汁に含まれるぬか成分がワックスの役割を果たすから、など諸説ありますが、実際はどのような効果がもたらされるのか、1カ月間試してみました。
ペットボトルなどにとぎ汁を入れておき、ぞうきんに含ませて床を磨きます。バケツなどにとぎ汁を直接入れて、ぞうきんを浸して使ってもいいかもしれません。
床を拭いた後のぞうきんは、汚れで一面茶色くなっています。床は汚れがとれてすべすべですが、ワックスを塗ったような光沢は感じられません。拭き終わった後、床にとぎ汁の白い膜が残るかと思いましたが、特に気にはなりませんでした。とぎ汁特有のにおいもありません。念のため、とぎ汁で拭いた後に、乾いたぞうきんで乾拭きをしました。
同じ場所を1カ月拭き続けましたが、劇的な変化は残念ながら感じられませんでした。ツヤも出ているような、出ていないような微妙な感じです。もしかしたら、床のツヤは数カ月単位、数年単位と、長期間実施しないと出ない効果なのかもしれません。
まとめ
お米のとぎ汁の再利用方法を4つ検証してみました。いつも捨てていたとぎ汁が、食器洗いや掃除に活用できるとは驚きですね。特に「食器の油汚れを落とす」は、想像以上の汚れ落とし効果でびっくり。軽い油汚れであれば洗剤なしで食器がきれいになるので、うまく利用すれば水道代と洗剤を節約できそうです。床の拭き掃除は、効果を実感するのは時間がかかりそうですが、長い目で見るとかなりの量の水の節約になりそうです。
とぎ汁は常温でそのまま放置すると、成分が変質して異臭を発するようになります。変質を防ぐためにも、とぎ汁は1日ほどで使い切る方がいいと感じました。また、使い終わった後のスポンジやぞうきんも、とぎ汁成分が残るとイヤなにおいがするようになるので、しっかりとすすぐようにします。
お米のとぎ汁は、その他にも、大根をやわらかくしたり、鉢植えの植物の肥料にしたりと、活用方法はたくさんあります。「無洗米しか食べていないから……」という人も、プラスαの効果を楽しみに普通のお米を購入してみてはいかがでしょうか。
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