米国のロックミュージシャン、トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズのリーダー、トム・ペティがロサンゼルスの病院で息を引き取った。66歳だった。

トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズ『破壊 ~ Damn the Torpedoes』
1979年発表
Geffen Records(ユニバーサル・ミュージック・ジャパン)

トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズは絶大な人気を誇るロックバンドだ。どれくらいスゴイかというと、アメリカでは、ブルース・スプリングスティーンに肩を並べると言えばわかってもらえるだろうか? ロックの殿堂入りを果たし、ローリングストーン誌が選ぶ「最も偉大なアーティスト100」でも91位にランクインする偉大なロッカーだ。しかし、不幸なことに日本での人気は今ひとつで、来日も2回しか果たされなかった。

僕はボブ・ディランと一緒に来日した1986年の武道館を見た。かっこよかった。月並みな言葉だけれどそれ以外なかった。まだ僕も若く感受性もあった頃で、聞きながら震えた。アメリカン・ロッカーのくせにちっともマッチョじゃなく、繊細なヴォーカルや曲調がとても耳に心地よかった。「逃亡者」が流れたとき、鳥肌が立った。きっと武道館にいる全員がそうだったと思う。


1979年の大ヒット「逃亡者」。80年初来日の際、『夜のヒットスタジオ』にも出演してたよ。

88年に入るとジョージ・ハリスン、ジェフ・リン、ボブ・ディラン、ロイ・オービソンとともに史上最強のゴージャスな覆面バンド、トラヴェリング・ウィルベリーズの活動に入った。またそれが、とてもトム・ペティ的な音楽でしみじみとよかった。

たまたま、9月の末にBSのミュージックエアで2006年のライブを見たばかりだったので、まだとても信じられない気持ちで一杯だ。

アメリカン・ロックの頂点の一角のご冥福をお祈りします。