大人気のディズニーキャラクターの子孫たちを主人公に、“悪役の子どもは悪なのか?”というテーマでヴィランズの葛藤を描いた2015年の大ヒット作の続編、映画『ディセンダント2』が、ディズニー・チャンネルにていよいよ10月21日に日本初放送となる。

待望の続編ではヴィランズの子どもたちが"自分らしさとは何か?"という新たな局面に挑み、新たなヴィランズも加わって濃厚で普遍的なドラマが展開するが、その日本初放送を前に、前作同様エグゼクティブ・プロデューサー兼監督を務めたケニー・オルテガ監督が来日! 本シリーズならではの物語性について、今回初めて語ったと言うオルテガ監督の想いとは!?

ケニー・オルテガ監督

――実は今年の7月アナハイムで「D23 Expo」を開催していた際、エキスポの会場やカリフォルニアのディズニーランド・パークでキャストの皆さんとパレードしている姿を拝見していましたが、とてつもない人気でしたね!

そうそう。2日間にわたってね(笑)。ディズニーランドでもD23の会場でもパレードをした。何千人という方が集まってくださって、自分の仕事で人々に影響を与えていることを改めて痛感したよ。それに若い人の顔を改めて拝見して、キャストにあれだけ興奮してくれて大変うれしく思ったよ。

――その様子を見て本当に同シリーズが大人気だと実感しましたが、前作の頃はこれほどの大人気になるという確証はありましたか?

自分の感覚や気持ちを信頼しているけれど、本作についてはまず脚本を手にした時にとてもわくわくして興奮した。自分が本当にディズニーが大好きだという想いや、自分が本当に観て育ったクルエラ・ド・ビルやフック船長がいるおとぎの世界が別の機会として現れ、新しいおとぎ話になって、新しい世代のヒーローとヴィランズを描くことができるわけで、これは素晴らしいチャンスだと思った。そして若い世代にイマジネーションを提供することになって期待値は高かったけれど、これだけの方が応援してくれるとは思ってもいなかったよ。

――およそ学びなどなさそうなヴィランズの子どもたちがもがいている姿を観て、我々が学ぶという構図が面白いですよね。物語を演出する上で気をつけていたことは?

確かにそうだね。それは初めて聞かれたよ。ありがとう。もともと僕自身大変な界隈で育っていて、両親もいわゆる低所得者層だった。ブルーカラーでね。不自由な環境で育ったよ。通っていた学校も混雑していて、教師が僕の存在に気づいてさえいない状況もあったほどだ。希望がなかった。僕の声など届いていないって感じていた。ある時突然思ったことは、自分が何かを選択することで前に進めるということに気が付いた。だから僕はこのキャラクターたちに共感するし、リンクしていると思う。僕自身も闇の部分を理解していて、忘れられている立場も理解できる。希望がないこともよくわかる。その中でチャンスを手にする美しさも理解できて、その結果、彼らの苦悩も個人的なレベルで理解したよ。

――なるほど。極めてパーソナルな想いが根底にあったからこそ、ファンタジックな世界ではあるけれどもリアリティーある物語になっているわけですね。

この物語は、まるで自分が育ってきた状況というものとすごく重なる部分があって、僕自身も出身を恥じていたり、よく思っていなかったり、自信がなかった。だから当時、自分自身を受け入れることが、最初はできなかったと思う。だから、自分の物語のように感じたし、これは僕の助けにもなった。僕もヒーローの子どもよりも、ヴィランズの子どもたちに共感する。僕の中にも何かしらマルやイヴィの要素があって、カルロスやジェイの要素があると思うし、何百万人の人々が共感するのも皆にそういう要素があるからだと思うよ。このことを公に語れることがうれしいよ。いままで一度も聞かれなかったからね。

――そしていまの時代、この作品をエンターテイメントとして楽しみながら視聴する一方で、真に救われる人も多いように思います。

本当に、よく感謝されるんだ。この映画と似たような道を通っているのでよくわかる、あるいは、この作品の誰かが困難に直面している姿を見て初めて客観的に自分を見ることができた、とかね。ファンの方がカルロスが大好きだと言っている時、それはカルロスが見ていて楽しいキャラだからか、自分たちの中にカルロスがいるのかだと思うけれど、おそらくは自分たち自身を彼らに投影していると思う。このシリーズはファンとしてキャラクターを応援するということよりも、共感というところが大きいと思うよ。

『ディセンダント2』はディズニー・チャンネルにて、10月21日(19:30~21:30)日本初放送。前作『ディセンダント』も10月20日(19:30~21:30)ほかにて放送。

■プロフィール
ケニー・オルテガ
1950年4月18日生まれ。アメリカ、カリフォルニア州パロ・アルト出身。『ディセンダント』『ディセンダント2』のエグゼクティブ・プロデューサー兼監督を務める。13歳の時に、俳優としてのキャリアをスタート。その後人気振付師として活躍して、かのマイケル・ジャクソンのツアー制作と映画『マイケル・ジャクソンTHIS IS IT』の監督として一気に駆け上がる。ディズニー・チャンネルの「ハイスクール・ミュージカル」では、主演のザック・エフロンとヴァネッサ・ハジェンズを世界中のティーンのあこがれの存在にするなど、アイドル発掘・起用の手腕は天才的。映像作品以外では、2002年にソルトレークシティーオリンピックの開会式と閉会式の監督と振付を担当。エミー賞をこれまでに2回受賞した。

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