Microsoftは2017年10月17日(米国時間)、Windows 10 バージョン1709となるWindows 10 Fall Creators Updateのリリースを予定している。OneDriveオンデマンドなど多くの機能が実装されるが、誰もが機能更新プログラム(俗にいう大型アップデート)を適用するわけではない。安定性を重視するユーザーもいれば、入れたくともOS内の整合性が低下し、正しくインストールできないロールバックに出くわすユーザーも現れることだろう。
振り返ると2015年7月29日のファーストバージョン(released in July 2015)から数えて早2年が経つ。その間にNovember Update、Anniversary Update、そして現行のCreators Updateと機能更新プログラムを重ねてきたが、過去のサービスパックに照らし合わせれば、Creators Updateは"SP3"に位置する。
Windows 10はWaaS(Windows as a Service)のため、サービスパックという概念はないものの、Microsoftが現在の方針を維持する限り、機能更新プログラムを重ねていくのは明確だ。
そこで興味を惹くのが、Windows公式ブログに掲載された安定性に関する記述である。Microsoftは「Windows 10 バージョン1703(Creators Update)はWindows 10 バージョン1607(Anniversary Update)と比較して、OSとデバイスドライバーの安定性に関する問題が39%減少した」と説明している。また、同様のケースで安定性に問題を抱えるユーザー数も18%減少という。
改善ポイントはバッテリー駆動時間やパフォーマンス面でも顕著のようだ。Microsoftはそれぞれ数値で示しているので、その内容を箇条書きで紹介する。なお、この他にもスタートメニューから実行するWindows Searchのパフォーマンスも最適化を施したと同社は説明した。
- Surface Pro 4の電源モードの変更で平均寿命は5%以上。
- 「映画&TV」によるストリーミング再生時間も5%増加。
- Microsoft Edge利用時のバッテリー寿命は17%改善。
- 「メール」によるバックグラウンド同期の電源効率は40%向上。
- デバイスの起動時間は13%向上。
- サインイン時は最大18%短縮。
- Windows Helloの顔認証は最大30%高速化。
- Microsoft Edgeは最大53%高速化
- 初回サインイン時に発生する処理は最大47%高層化。
さらに下図をご覧頂きたい。こちらのグラフはMicrosoftが公式ブログに掲載したものだが、「Anniversary Update更新以来、Microsoftのカスタマーサポートチームに寄せられる電話とオンラインサポートの要求量が大幅に削減している」という。青色の縦棒がWindows 10アクティブユーザー数、横に伸びるオレンジ色の折れ線グラフがサポート問い合わせ数のようだが、単位こそ不明ながらも減少していることは確かだ。
おそらく多くのWindows 10ユーザーが体験してきたように、初期のWindows 10は何らかのタスクが原因でスタートメニューが開かず「設定」を起動してもすぐに落ちてしまうなど、不可解な現象に出くわすことがあった。だが、原因となるバグも少しずつ解消しAnniversary Updateという機能更新プログラムを経たあたりから、安定しつつある。正にサービスパックを当てた過去のWindowsのようだ。
細かいことを言い出せば万全とはいえないがものの、Windows 10に対する品質の問題は過去のものになりつつある。MicrosoftがOffice 365とWindows 10 Enterprise、EMS(Enterprise Mobility+Security)とセットにした「Microsoft 365」をソリューションとして展開する背景には、Windows 10の安定化が大きく寄与したのだろう。
阿久津良和(Cactus)