2004年に発売された小型Wi-Fiベースステーション「AirMac Express」以来、Appleは可逆圧縮(ロスレス)のオーディオコーデックとして「Apple Lossless(ALAC)」をサポートしてきた。当初は仕様が明かされないプロプライエタリな技術だったが、2011年にはオープンソース化に踏み切り、現在では多くのオーディオ機器やOS/アプリでサポートされている。
そのためか、もうひとつのロスレス・オーディオコーデック「FLAC」は、Apple製品では積極的にサポートされてこなかった。ソフトウェア(デコーダ)を追加すればiPhone/iPadやMacでも再生できるが、OSレベルでサポートされているほうがアプリ開発者にとって好都合。FLAC再生に対応するアプリの増加にもつながるため、エンドユーザにとっても歓迎されるべき話だ。
iOS 11では、FLACがついにOSレベルでサポートされた。しかし、9月20日現在iTunesにFLACエンコーダは収録されていないため、パソコンと同期して「ミュージック」アプリで再生することはできない。iOS 11のFLACデコーダを利用したアプリが登場するのはこれからということもあり、iOS 11公開直後からFLACを気軽に再生できるとは考えないほうがいい。
しかし、「メモ」を使えば簡易的な方法ながらFLACを再生できる。iCloud Driveなど「ファイル」(iOS 11で追加されたファイル管理アプリ)にFLACファイルを保存し、共有メニュー経由で「メモ」へ挿入すればOKだ。気軽に音楽を聴くスタイルではないが、ごく基本的な再生指示はできるし、iOSの「Core Audio」を経由するため音質もしっかりしている。iOS 11のFLACサポートがどのようなものか、とりあえず確認したい場合に利用してほしい。