シェアハウスに暮らしてみたい! と思った際に、そのメリットやデメリットはどのようなものがあるのでしょうか。また、余計なトラブルを起こさず楽しく円満に暮らすために気をつけるべき点とは? 不動産・住生活ライターの高田七穂さんにシェアハウスに暮らす時のポイントについて伺いました。

シェアハウスに入居してみたいけど、注意点はある?

立地や環境、間取りなどよりも、内部の雰囲気や人間関係を意識して内覧しましょう。

一つ屋根の下で、何人かで集まって暮らすシェアハウス。個室がありプライバシーを保ちながら、人と緩やかにつながれる点がメリットです。最近では、共通する趣味をもつ人同士を集めたシェアハウスもあり、気が合う仲間たちと楽しく暮らせる生活が待っていそうです。

シェアハウスは、家の持ち主がシェアハウスのノウハウをもつ運営事業者に家を貸していることが少なくありません。この場合、一般の賃貸と異なり、何かあったら家の持ち主ではなく、運営事業者に伝えたり、質問したりすることになります。

ルールとトラブル

まず、どのような決まりがあるかを運営事業者に尋ねましょう。そして、自分が守れるかどうかを考えます。例えば、月1回、会議を行って話し合いをしているところがあります。定期的に集まって食事会をするところもあります。

内覧の際には、共用玄関やリビングに注意事項が書かれていないかをチェック。貼り紙があれば、内容を読み、住んでいる人の暮らしをイメージしましょう。不快になるような表現はないかも見ておきます。

さらに、「トラブルが起きたらどう対応するのですか」と尋ねておくのもよさそうです。居住者同士が話し合って解決するのか、あるいは運営事業者が間に立つのかといった方法があります。過去のトラブル事例と解決方法も聞いておくと安心かもしれません。

設備とその利用方法

どんな設備があるかにより、入居後にそろえるものが異なります。掃除機や電子レンジなど、必要なものがあるかを確認しましょう。設備があっても、使用料が必要となるものはないかもチェック。洗濯機などがコイン式になっていることがあるからです。
共用の冷蔵庫があれば、「中を見ていいですか」と許可をとったうえで、開けてみましょう。部屋ごとに入れる場所が決まっており、整理整頓されていれば、お互いがよい距離を保って生活している様子がうかがえます。「私は冷蔵庫のどこを利用できますか」と聞いてみるのもよさそうです。
また、「お風呂やキッチンなどは何時ごろがバッティングしやすいですか」も尋ねてみましょう。自分の生活時間帯と重なると不便を感じやすいものです。また、清掃などのメンテナンスはどうなっているのかも聞いてみます。住んでいる人が交代で行っていたり、外部に依頼していたりすることがあります。

入居者と話す

直接、入居者と話す機会をつくってもらうようにしましょう。率直にいろいろなことを質問するのもとても大切です。一緒に暮らせそうかな、と思うならOK。ただし、あなた自身も入居者やシェアハウスを運営する事業者から見られていることを忘れずに。

契約形態

シェアハウスでは、定期借家方式という契約形態になっていることがあります。これは、一般の賃貸借と異なり、期間が来ると退去しなければならないもの。もちろん、運営事業者と再契約ができる場合が大部分ですが、あなたがトラブルメーカーになってしまうと再契約を拒否され、住み続けることができなくなってしまいます。
また、家の持ち主が運営事業者に対し、期限を決めてシェアハウスとして貸し出す契約をしていることもあります。こうなると、ずっと住みたくても、そのシェアハウス自体がなくなってしまうため、住み続けることはできません。契約形態を事前にチェックするとともに、退去時のことも考えておきましょう。

高田七穂(たかだ なお):不動産・住生活ライター。住まいの選び方や管理、リフォームなどを専門に執筆。モットーは「住む側や消費者の視点」。書籍に『絶対にだまされない マンションの買い方』(共著)『マンションは消費税増税前に絶対買うべし!?』(いずれもエクスナレッジ)など。「夕刊フジ」にて『住まいの処方銭』連載中