ストレス社会の現代、多くの人は毎日を生きるのも一苦労ではないだろうか。「朝晩の満員電車」「上司や取引先の理不尽な叱責」「将来に対する不安」「パートナーや家族との口論」など、ストレスの種はいくらでもある。
社会という共同体に所属している以上、他人とのトラブルは避けることができないため、「とかくに人の世は住みにくい」と感じるのも、最もなことのように思える。ましてや、自分の住み慣れた地以外での生活となれば、なおさら窮屈でストレスに感じるのではないだろうか。
今回は日本在住の外国人20人に「日本に来てストレスに感じたこと」をテーマにアンケートを実施。異国の地で生まれ育った人たちは、日本の何に対して煩わしさを感じているのだろうか。気になった回答を紹介しよう。
Q. 日本に来て最もストレスに感じたことは何ですか
日常生活編
・「ハラールの食べ物が手に入りにくいです。スーパーに売ってるものは豚、ハラールでない動物性の材料やアルコールが入ったものです。原材料に書かれてなくても、会社に問い合わせてみると、豚のものが入ってるために食べられません。本当に困ります。特に乳化剤は、いろんな食べ物の原材料に入っていて、ほとんど豚から作られてます。ハラール認証のものはまだ少なくて、すごく高くて買えません」(エジプト/30代前半/女性)
・「美容意識があまりない私ですが、日本の女性はみんな美容意識が高く、いつもダイエット中。そして私よりやせている女性の姿を見ると、私自身は太っていないのに『もっとやせないと』と人生で初めて思い始めるようになりました。水着を着るのが恥ずかしくなり、ミニスカートをはくと私の筋肉的な足が目立つから着ないようにするなど、最近ストレスに感じ始めています」(イタリア/20代前半/女性)
・「私は顔が日本人とあまり変わらないため、外国人なら普通にするであろう失敗や日本語の間違いをしてしまった際に周りに不審な目で見られ、困ることがたくさんありました。例えば銭湯でのマナーの場合、白人の外国人は優しく教えてもらえるのに、私は厳しく叱られます。また、無意識に日本人と比べられて勝手にガッカリされることも多いです」(フィリピン/30代後半/女性)
・「満員電車でストレスが溜まる」(マレーシア/40代前半/男性)
・「部屋の契約や銀行と携帯の契約のことです。ルールが多く、説明してくれても難しいと思います。あとATMがやっていない時間帯があります。たまに困ることになります」(香港/20代後半/男性)
・「交通を使うのが難しかった。それに来日した後の手順はよくわからなくてストレスだった(市役所の手続きなど)」(ロシア/20代前半/男性)
ビジネス編
・「日本に初めて来たときは、人の多さにストレスを感じました。住んでからは人間関係でした。仕事で忙しいときにさらにプライベートなことで干渉され、それでも自分の意見をなかなか言えない雰囲気に最もストレスを感じました(自己主張がしにくいところです)」(パラグアイ/50代/女性)
・「職場での人間関係が一番ストレスになりました」(オーストラリア/30代後半/女性)
・「来日以来、ストレスを感じない日はありません。仕事が忙しくて、納期にいつも追われています」(スペイン/40代前半/女性)
・「母国と比べて日本での生活は時間と体力を使います。毎日忙しいので、リラックス時間が少なくストレスを感じることがよくあります。恋愛をする時間すらなくて、相手も忙しいのでなかなか会えなくなるときつく感じます」(カンボジア/20代前半/男性)
・「会社の上司によるパワハラ。人を傷つけるだけで、仕事には全く関係のないことをネチネチ言ってくる」(タイ/40代前半/男性)
・「みんな忙しそうなところ」(インド/30代前半/男性)
・「職場で仕事がいっぱいあるとストレスも感じるし、お金を稼ぐのは大変なので落ち着くことなんかできません」(スペイン/30代前半/男性)
・「上下関係の激しさ。理不尽になるケースが多い」(シリア/30代後半/男性)
その他
・「顔を見られて『外人だ! 』思われて、英語で話しかけられるとイライラします。もちろん、相手の気持ちはわかります。でもこちらからすると、どれだけ日本に住んでいても、どれだけ日本語がペラペラになっても『受け入れてもらえないんだ』と思えてしまい、とても悲しくなり怒りも感じます」(アメリカ/30代前半/女性)
・「ルールの見方が狭いことです。もっと柔軟性があってもいいと思います」(ペルー/40代前半/女性)
・「厳しい夏の暑さや湿度、冬の室内の寒さが一番のストレスです」(ハンガリー/30代後半/女性)
・「日本の中年女性ストーカー」(ポーランド/30代前半/男性)
■総評
今回アンケートを実施した外国人は、仕事関係のことに対してストレスを感じているケースがやや多いようだ。仕事におけるストレスは私たち日本人の多くも抱いているが、ワークスタイルや仕事に対する価値観などが異なる文化で育った人たちからすれば、なおさらストレスフルに感じたとしても仕方がないことではないだろうか。
※写真と本文は関係ありません
調査時期: 2017年7月21日~2017年8月21日
調査対象: 日本在住の外国人
調査数: 20名
調査方法: インターネット応募式アンケート