GMOインターネットは9月7日、2018年度をめどに、仮想通貨の採掘(ビットコインマイニング)事業に進出することを発表した。9月13日にはメディア向けに事業参入に関する説明会を開催したが、中国勢を中心に多くの事業者が参入している分野に対し、なぜこのタイミングで参入したのだろうか。
なぜ「通貨」なのに「採掘」なのか?
GMOの思惑を説明する前に、まずは仮想通貨について簡単におさらいをしておこう。通常の通貨が国家・政府の信用や金の保有量を背景に価値が決まるのに対し、仮想通貨の価値は中央機関に依存しない。仮想通貨は金の取引に似た部分があり、誰もがそれに価値があると考えているから値段がつく、という、世界共通の価値観の中で成立する。
金は美しさに加えて埋蔵量に限界があるから価値があるとされるわけだが、仮想通貨にも実は上限がある。仮想通貨は通常、ある数理的問題を解決する「miner」(採掘者)と呼ばれるソフトを使って問題を解決することで「採掘」される。
この「miner」を使って「採掘」された問題は、定期的に「誰が最初に採掘したか」を検証し、最初に採掘された人にのみ仮想通貨が発行される。もし採掘に参加している人が少なければ「当たり」を引く可能性は高まり、人が多ければ「当たり」はなかなか引けない。そして純粋に演算能力をたくさん用意することで「採掘」できる問題を増やし、「当たり」を引く確率が上がる、といった仕組みだ。
ちなみに、仮想通貨の嚆矢であり、最大のシェアを持つ「ビットコイン」の場合、約10~15分ごとに検証が行われ、「当たり」を引ければ12.5枚のコインが「発行」される。これは日本円に直しておよそ80万円程度の価値に相当する。
ビットコインの場合、発行量は2100万枚と上限が決まっており、これまでに約1600万枚が採掘済み。しかし21万枚が採掘されるたびに発行量が半減することになっており、2020年ごろにはさらに半減して6.25枚の発行になる。そして最終的には2140年ごろに枯渇する見込みだ。採掘が難しくなっていけば価値も高くなり、そして巨大な演算力を持つマイニング企業に集中していく、というのも、金の採掘の歴史を見ているかのようだ。