米Appleは9月12日(現地時間)、「Apple Watch Series 3」を発表した。Series 2よりも処理速度が高速化しているほか、新たにLTE通信が可能なセルラーモデルをラインナップに加える。日本では9月15日に予約を開始し、9月22日に発売となる。
Apple Watch Series 3では、事前に流れていた噂通り、UTMS<E (UMTS=いわゆる3G)による通信が可能な「GPS+セルラーモデル」が追加された。従来通り通信機能がないモデルは「GPSモデル」と呼ばれる。セルラーモデルの通信速度は公開されていないが、少なくともペアリングしたiPhoneがなくても、単体で通話すること、Apple Musicのストリーミング配信を聞くことは可能なようだ。なお、GPSモデルの利用にはiPhone 5s以降、セルラーモデルはiPhone 6以降が必要になる。
なお、セルラーモデルにはペアリングしたiPhoneと同じ電話番号が割り当てられるため、キャリア側に何らかの対応が求められそうだ。通信プランもApple Watch専用のものが登場すると予想される。日本ではNTTドコモ、au、ソフトバンクの3社が対応キャリアとして発表されているが、UMTS(=3G)に対応しているのはドコモのみとなっている。このため、auやソフトバンクでの通話はVoLTEを利用すると思われる。
スペック面ではプロセッサがSeries 2に搭載されていた「S2」から、クロックアップして約70%高速化した「S3」プロセッサに変更されており、さらにセルラーモデルについてはストレージ容量が8GBから16GBに強化されている。Wi-Fi周りについても、より高速、省電力な「W2」プロセッサを搭載。さらに電波を通過させる必要があるためか、裏蓋がGPSモデルの複合材製のものから、セルラーモデルではセラミック製に変わっている。そのほか、外見上の違いとしては、Digital Crownのトップ部が赤く塗られているのが最大の違いとなる。その他のサイズや重量、バッテリー駆動時間などは、Series 2から変更はない。
バンドには新色が多数追加されるほか、アルミニウムケースのボディカラーがシルバー、スペースグレイに加え、ローズゴールドからゴールドに変更。また、高級モデル「Edition」はセラミック製であることはSeries 2と共通ながら、新色のグレイが追加される。「Apple Watch Hermes」や「Apple Watch Nike+」については、それぞれ新しいバンドや文字盤のデザインを投入する。
なお、Apple Watchのエントリーモデルとして、GPSやNFC/Suicaを搭載しない「Series 1」が販売を継続する。価格は27,800円~。防水性能はないが、アクティビティトラッカーとしての機能や、iPhoneと連動して通知などを知らせる機能は利用できる。
Series 1が併売されるため、Series 1、Series 3 GPSモデル、Series 3 GPS+セルラーモデルの3機種が展開されることになる。日本での価格(税別)はそれぞれ27,800円~、36,800円~、45,800円~。 |
また、最新の「watchOS 4」が9月19日に公開される。watchOS 4では計測できるワークアウトの種類が増えたほか、アクティビティのモチベーションを高めるようなコーチング機能、ユーザーの行動を先読みして必要な情報を表示するSiri連動の文字盤などが提供される。
Series 2ではApple Pay/Suica対応で一定のユーザーバリューを高めたApple Watchだが、Series 3ではセルラーモデルで通信機能を追加することで、ワークアウト時などに重いiPhoneを持ち歩く必要がなくなる。ちなみに、Series 3は海外モデルもFelicaが使えるようだ。
通信プランの料金設定やMVNO対応など不透明な点もあるが、スマートウォッチとして期待される機能は3代目にしてようやく全て揃ったといえる。あとはどの程度市場に受け入れられるかが注目される。