メルセデス・ベンツ日本は新型「メルセデス・マイバッハ Sクラス」を発表した。富裕層の乗り物で街でも滅多に見かけないマイバッハだが、メルセデスのブランド戦略にとって、このクルマは欠かせない存在のようだ。

新型「メルセデス・マイバッハ Sクラス」

超ロングボディが特徴、充実の後部座席

マイバッハの特徴は、全長5.4メートルを超えるロングボディだ。メルセデス・ベンツの最上位車種「Sクラス」よりも、ホイールベース(前輪軸と後輪軸の間の距離)で20センチメートルも長い。この延長分は、全てが後席乗員の快適性向上のために使われている。

ロングボディが特徴

マイバッハは基本的に、後席に乗ってドライバーに運転してもらうクルマだから、後席の設備が充実している。例としては、マッサージ機能、大画面モニターとワイヤレスヘッドホン、アームレストなどを温めるヒーター、飲み物を保冷・保温するドリンクホルダーなどが使用可能だ。後席は遮音材で囲まれており、量産車としては世界最高の静粛性も味わえるという。

充実の後部座席

マイバッハには3つのグレードがあり、4リッターV型8気筒直噴ツインターボエンジンを搭載する「メルセデス・マイバッハ S 560」と「メルセデス・マイバッハ S 560 4MATIC」が税込み2253万円から、6リッターV型12気筒ツインターボエンジン搭載の「メルセデス・マイバッハ S 650」が2761万円からという設定だ。9月8日から予約注文の受け付けを開始しており、納車開始は4輪駆動のS560 4MATICで9月中、残りの2モデルで12月中を予定している。

AMGとマイバッハがメルセデスブランドの両極を体現

日本におけるマイバッハの販売台数は、2015年に登場したメルセデス・マイバッハで累計400台程度。それ以前には「メルセデス」の名を用いない「マイバッハ」として販売していた時期があり、そのマイバッハ単独時代の累計販売台数は約200台だったという。

性格上、年に何千台も売れるクルマではないが、メルセデス・ベンツにとって、マイバッハが体現する価値観はブランド戦略上、大事なものなのだとメルセデス・ベンツ日本の上野金太郎社長は語る。究極のハイパフォーマンスを実現する「AMG」、究極のエクスクルーシブ性を追求する「マイバッハ」が両極にあり、そのベースとしてメルセデス・ベンツが存在するというのが、同社が目指す姿だ。

メルセデス・ベンツ日本の上野社長

ブランド観を醸成するクルマとしての役割を担うマイバッハ。今後はモデルのラインナップが増えていく見通しだ。これまでに発表になっている車種としては、リムジンタイプの「S600 プルマン」、オープンカーの「S650 カブリオレ」、シリーズ初のSUV「S650 ランドレー」などがある。また、マイバッハではラグジュアリーな電気自動車(EV)の到来を予感させるコンセプトモデル「ビジョン・メルセデス・マイバッハ 6」も発表済みだ。

EVのコンセプト「ビジョン・メルセデス・マイバッハ 6」

上野社長によれば、マイバッハを購入するような富裕層の需要は「伸びているとまでは言えないが底堅い」そう。ここ最近の流れとして、富裕層のクルマ選びは国産メーカーに振れている感触もあるらしいが、上野社長は後部座席の快適さなどを訴求し、マイバッハの販売を「頑張っていきたい」と意欲を示していた。