9月8日、ANAが日本の航空会社として初めて受領したエアバスA321neo(new engine option)が羽田空港に到着した。ANAのA321neo初号機(JA131A)は、9月12日のANA641(羽田発/熊本行き)を皮切りに、国内線で運用を予定。ANAは2023年度末までに、22機のA321neoを導入する見通しとなっている。
45社以上から1,400機以上の受注を得る新機材
ANAのA321neo初号機は、9月5日にドイツ・ハンブルクにてエアバス社より受領し、6日のNH9400(ハンブルグ20:00発ノヴォシビルスク/翌07:15着)、8日のNH9400(ノヴォシビルスク07:00発/羽田16:00着予定)で羽田に到着した。なお、羽田到着時は予定が早まり、ランディングは15:16、スポットインは15:22となった。
A321neoは全長44.51mとなるA320ファミリーの最大機種であり、A320neoファミリーは従来のA320ファミリーであるA319、A320、A321のオプションとしてエアバスが提供。A321neoは45社以上から1,400機以上の受注を獲得し、80%を超える市場シェアを得ている。ANAは今回の受領で、A321neoを運航する5番目の航空会社となる。
A319neo、A320neo、A321neoで構成されるA320neoファミリーは、シャークレットと呼ばれる大型のウイングチップと新型の燃費効率に優れたエンジンを標準装備することによって、就航時から少なくとも15%の燃費削減を提供する。なお、A320neo初号機は2016年1月20日に、A321neo初号機は2017年4月にそれぞれ引き渡されている。
選べる2つのエンジンで従来機よりも燃費効率が15%向上
ANAは従来機にあたるA321ceo(current engine option)初号機を2016年10月31日に受領し、その後、2016年の内に4機を受領した。A321ceoのエンジンはCFMインターナショナル社製「CFM 56-5B3/3」(1万4,970kg×2)である一方、今回のA321neoにはプラット&ホイットニー社製「PW1130G-JM」(1万3,740kg×2)を搭載している。なお、A320neoファミリーのエンジンは、「PurePower PW1100G-JM」のほか、CFMインターナショナル社製「LEAP-1A」を選択できる。
ANAがA321neoに搭載している「CFM 56-5B3/3」はギアード・ターボファン・エンジン(シャフトにギアを取り付け、ギアを介してファンの回転を制御する構造のエンジン)であり、騒音の改善とともにANA従来機のA321ceoに比べて燃費効率が15%向上している。その他の違いとしては、最大離陸重量は89トン(A321ceoは80トン)、航続距離は5,130km(A321ceoは2,750km)、燃料容量は6,230U.S.G.(A321ceoは6,370U.S.G.)があげられる。なお、エアバスの2017年リスト価格では、A321neoは1億2,700万米ドル、A321ceoは1億1,600万米ドルとなっている。
広々空間の座席に全席タッチパネル
A320ファミリーの客室は単通路型機で最も幅広い客室となっており、競合機より7インチ幅広く設計されている。加えて、ギャレーはその他の単通路型機よりも25%多い容量があり、作業スペースも40%広くなるという特長がある。
ANAが受領したA321neoは、プレミアムクラス8席、普通席186席、合計194席の国内線仕様機。プレミアムクラスにはRECARO社製の電動リクライニングシートを採用しており、シートピッチは50インチと国内線最大級のゆとりを確保した。また、レッグレストやフットレストも完備し、自分にあった角度に調整できる。
さらに、12インチのタッチパネル式パーソナルモニターを備え、エンターテイメントシステム「Rave」を導入し、約60タイトルのビデオコンテンツをはじめ、充実した機内エンターテイメントを搭載。PC電源やUSB充電ポートのほか、携帯電話などの小物が入れられる収納スペースを充実させている。
普通席はZODIAC AEROSPACE社製の最新薄型軽量シートで、滑りにくい布素材を採用。30~31インチのシートピッチに、国内線普通席としては初めてとなるタッチスクリーン型10インチパーソナルモニターを完備している。そのほか、PC電源やUSB充電ポートを装備する。
なお、機内インターネットサービス「ANA Wi-Fiサービス」を通じて、ライブテレビ(無料)やインターネット接続サービス(有料)、e-booksサービス(無料)なども機内で楽しめる。現状、国内線仕様のA321neoは、航続距離の延伸よりもその経済性を生かし、幹線を含んだ国内線の需要に応える機材として2023年度末までに22機を導入。ゆくゆくは、ボーイング767に代わる機材として運用していく予定となっている。