賃貸物件を借りた際、敷金、礼金、仲介手数料、保険に引っ越し費用など、最初にかかる費用が多くて急に懐が寂しくなってしまった経験がある方は多いのではないでしょうか。その中でも、敷金礼金などのいわゆる「初期費用」の支払いタイミングをズラせたらそれだけでも随分楽になりそうです。不動産・住生活ライターの高田七穂さんに初期費用の分割払いについて伺いました。


Q 初期費用って結構かかる。分割払いにできるかな?

A 数は多くはないですが、分割払いができる場合もあります。ボーナス一括払いが可能なところもあります。ただし、手数料がかかる場合が少なくないことを頭に入れておきましょう。クレジットカード作成が条件になっていたり、全額を分割にできたりするわけではないことも頭にいれておきたいものです。

賃貸生活を始めようとすると、当初、引っ越し代や礼金、敷金、仲介手数料1ヶ月分の家賃、家具や家電の購入などで、多いときには家賃の5カ月分以上の費用が必要になることがあります。これだけを現金で用意するのは、負担になるもの。そこで、最近、不動産会社や大家さんによっては、分割払いを可能とするところも現れています。

分割払いの代表的な事例は、クレジットカードでのリボ払いや分割払い。毎月一定額を口座から引き落とすものです。また、大家さんが分割払いを個人的に認めてくれる例もないわけではありません。少しずつ払っていくので、負担感は減ります。クレジットカードで払えば、ポイントがつきますし、引っ越し代などに割引が受けられる場合もあります。

ただ、分割払いを扱っている不動産会社でも、希望する部屋が分割払いを受け付けていないことがあります。不動産会社に早めに「初期費用の分割払いはできますか」「できるなら、どんな条件がありますか」と尋ねておきます。

一方で、注意したい点もあります。まず、手数料や金利がかかり、一括払いよりも総額は増えること。いくら余分にかかるのか、分割と総額の両方を出してもらって、事前に比較しておきましょう。

また、特定の会社のクレジットカード作成が条件のこともあります。ここで、カードの入会審査で通らなければ、一括で払わなければならない可能性がでてきます。審査に通らなかった場合、どうなるのかも聞いておきましょう。

さらに、初期費用のうち、どの費用が分割対象かも尋ねておきます。仲介手数料などは対象外のことも。事前に必要な現金を把握しましょう。

最後にもう一つ。最も大切なことですが、カードで払うなら引き落とし日には注意。口座残高に余裕をもっておくこと。もし、現金不足で引き落とせなかったら、延滞扱いになってしまうことも。延滞分に利息がつく可能性もあります。ここで、自分で振り込む場合は振り込み手数料も必要になります。

新しい生活を始めたら、新しい人間関係や暮らしが待っているもの。人との集まりも増えるでしょうし、生活上の欲しいものも出てきそうです。もし、分割払いを考えているなら、引っ越し後の生活費や返済分をしっかり考えて、万全の資金計画を立てておきましょう。

高田七穂(たかだ なお):不動産・住生活ライター。住まいの選び方や管理、リフォーム、暮らし方などを専門に執筆。モットーは「住む側や消費者の視点」。書籍に『絶対にだまされない マンションの買い方』(共著)『マンションは消費税増税前に絶対買うべし!?』(いずれもエクスナレッジ)など。「夕刊フジ」にて『住まいの処方銭』連載中

 

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