いよいよあす9日から放送されるフジテレビ系恒例の大型特番『FNS27時間テレビ にほんのれきし』(9日18:30~10日21:24)。今年は従来のお笑い祭りを脱し、歴史をテーマに取り上げることから、一見見堅苦しい内容を想像しがちだが、総合司会のビートたけしと、キャプテンの村上信五(関ジャニ∞)のコンビネーションで、"学べて笑えて楽しめる"番組に仕上がっている。
たけしの日本史知識がふんだんに
最初のコーナーは、メイン通し企画『にほんのれきし博物館』から。戦国の三英傑と呼ばれる織田信長・豊臣秀吉・徳川家康の実際の身長を、医学的見地に基づいて割り出して紹介していく内容で、実物大の分かりやすいビジュアルで比べることによって、遠い存在だった偉人たちがグッと近づいてくる。これから27時間にわたって、歴史との"距離感"が一気に縮まってくるということを、"にほんのれきし"という平仮名のタイトルとともに印象づけているのだ。
また、今年はほぼ全編が事前収録という大きな変革が行われているが、FNS系列27局から、社員、アナウンサー、出身タレントが集結し、歴史にまつわるご当地自慢でトークバトルを繰り広げる『れきし自慢!大賞』(前編9日18:45頃~、後編10日15:10頃~)では、30年にわたって受け継がれてきた"夢列島のDNA"も、随所に垣間見ることができる。
友近がよくネタにしている、全国ネットで張り切る系列局アナウンサーの空回りっぷりは冒頭から健在で、自信を持ってプレゼンしようとするトリビア情報に、たけしが躊躇(ちゅうちょ)なく「あっ、これは有名だよな」と言ってしまう場面も。さらに、「ゲッツ!」のタイミングをミスるダンディ坂野、不甲斐ないトークで相棒・たけしに「後で楽屋来んなよ」と言われてしまうビートきよし、本番中に寝てしまう大物俳優など、例年のような生放送でなくても、ハプニングが次々と巻き起こる。
そこにバシバシとツッコミを入れていくのが、"キャプテン"の村上だ。たけしのボケにも俊敏に反応し、抜群のコンビネーションを発揮。特に、たけしが「(村上のジャニーズの)先輩の、お粥みたいな名前の人」と言っただけで、村上が即答で当ててしまう場面は、お見事としか言いようがない。一方で、バラエティ慣れしていない女優の波瑠に話を振るケアも忘れず、総合演出の竹内誠氏が「"村上信五の時代"が来ますね!」と絶賛するのも、うなずける。
そして、たけしの日本史に関する知識が、27時間にわたってふんだんに披露されるのも、見どころの1つ。鋭い疑問も次々に飛び出し、スタッフが後日調べた解説テロップが頻繁に表示される。日本史の知識といえば、たけしとともに"お笑いBIG3"に並ぶタモリも有名だが、土曜のゴールデンタイムでは、裏にNHKで放送される『ブラタモリ』と衝突することになっており、SNS上での盛り上がりが楽しみだ。
定説とのズレを楽しむバカリズム脚本の会話劇
さらに、今回は「にほんのれきし博物館」の館長を務めるバカリズムが、ドラマの脚本を2本も担当。いずれも、学校で学んできた定説とのズレで笑わせてくれる内容で、最後に「このドラマは、全くのフィクションです。歴史上の人物や事件をモチーフに新解釈した『あったかもしれない』物語です」とテロップが入る。
織田信長唯一の撤退戦となった「金ヶ崎の戦い」を舞台にした『僕の金ヶ崎』(10日9:54~)は、信長(大杉漣)に、豊臣(当時は羽柴)秀吉(中尾明慶)、徳川家康(渡辺いっけい)、明智光秀(杉本哲太)という4人による会話劇。家康が「これ(甲冑)ホントめんどくさいよねー」と思い切り現代語でグチるなど、まるで、一向に議論が進まないダメ企業の役員会議を見ているようで、そんな上司たちの命令に「あっ、はい」と答えるバカリズム演じる服部半蔵の"ゆとり世代の若手社員っぷり"にもクスッとさせられる。
もう1本は、剛力彩芽が坂本龍馬の妻・お龍を演じる『私たちの薩長同盟』(10日13:06~)。優柔不断な男たちに代わり、女たちが持ち前の女子トークで薩長同盟を整えていくというストーリーだが、とにかく剛力のセリフやしぐさが男前なのだ。たけしがよくネタにする、島田洋七がオスカープロモーションに所属して剛力の後輩になったために「剛力の姐さん」と呼ぶべきかというエピソードが、妙にリンクしてしまった。
グランドフィナーレは『池上彰が見た!たけしと戦後ニッポン』(10日18:55頃~)で、まさに戦後とともに歩んできたたけしと池上から、当時のリアルで、貴重な証言が次々に飛び出してくる。最後の新人アナウンサーによる恒例の「提供読み」も、もちろん健在だ。
このように、大幅なリニューアルが行われる今年の『27時間テレビ』。それだけに、関係者も「どうなるのか、想像かつかない」と話すほどだが、そんなドキドキを楽しみながら、秋の夜長に歴史を振り返り、日本の魅力を再発見してみてはいかがだろうか。
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