続いて登壇したチェン・イエライ氏は、同社のクラウド強化に向け、新たなAIプラットフォームとして「Huawei Cloud Enterprise Intelligence(EI)」を発表した。
EIはエンタープライズ向けのAIプラットフォームで、AIと企業プロセスを合わせたものだ。
同氏は現在のAIの課題について、「顔認識、画像認識、音声認識など、それぞれに特化してバラバラの状態だ。今後は、人工知能の機能を1つにまとめて、より複雑なシナリオの中で活用していかなければならない」とし、午後のプレスカンファレンスでEIの目的を「EIはただの技術だ。AIで企業プロセスの課題を解決するのがポイントだ」 と説明した。
同社のAIは、スマートシティ領域に応用され、中国の深せん市では都市の交通違反対策に利用しようとしている。
深せん市は、人口2,200万人の中国第4の都市。車両の数は1平方キロあたり510台で、中国でもっとも車両密度が高いという。そのため、交通渋滞が頻発し、駐車場が探しづらいという課題を抱えている。そこで、同市はファーウェイと提携し、「交通頭脳プロジェクト」を今後一緒に推進していく。
このプロジェクトでは、イメージ識別で、車の数を把握。交通量を予測し、信号と連動させることによって、8%の効率をアップを図る。
そのほか、AIは法執行の部分でも利用され、商用車と自家用車を画像で識別。走っていけない道路を通行していないか判断するほか、盗難されたナンバープレートや違法なナンバープレートを使用していないかを判定する。これらの結果は現場の警察官の端末にプッシュ送信する。
さらに将来は、市民に情報提供をすることも考えているという。具体的には、出発地と目的地を入力すると、渋滞などを考慮して、最適なルートを提供。また、5Gのネットワークを利用したオンラインの交通量シミュレーションの構築も行っていくという。
また、AIは金融領域でも利用され、講演では中国の太平洋保険の事例が紹介された。同社は、9月1日からAIを活用したロボットコンサルティングサービスを開始。開始当日に20万アクセスがあり、サービス4日目で200万アクセスを達成したという。
このサービスは、6つの質問に答えるだけでリスクを数値化し、その人に合った保険金額を算出する。
また、同社はAIによって保険の請求作業を効率化。顧客が請求伝票を写真で送ると、チェック作業がAIを活用して行われ、自動で支払うしくみを導入。これによって、作業を50%以上効率化したという。
講演の最後にチェン・イエライ氏は、今後、企業はクラウドのパートナーを選ぶことがより重要になると指摘した。それには、データのセキュリティやプライバシーが守れるのか、安定しているか、信頼できるパートナーであるかの3つがポイントだという。
なぜ、信頼が重要かといえば同氏は、「単にデータセンターのマシンを変えるだけでなく、企業のIT部門の変革も必要だからだ。ファーウェイはこれまでずっと信頼を得ており、企業の信頼できるパートナーだ。セキュリティにおいても、チップセットによる暗号化を行っており、120のセキュリティの製品やサービスを提供している。また、統一的なプラットフォームでスムーズに導入しやすくなっている。これにより、パブリッククラウドとオンプレミスをシームレスに連携できるハイブリッドクラウドを構築できる。また、汎用的なプラットフォームのため、AmazonやAzureにもマイグレーションしやすく、海外進出しやすくなる」と、同社のクラウドのメリットをアピールした。