材料や調味料をセットすれば、家電が勝手に調理してくれる「ほったらかし調理家電」。参入メーカーが増えているこの分野に、象印マホービンが3年ぶりの新製品、自動圧力IHなべ「煮込み自慢 EL-MB30」を投入した。ここでは、都内で行われた製品説明会の様子をレポートする。
9月1日に発売した新製品の自動圧力IHなべ「煮込み自慢」EL-MB30。価格は実売40,000円前後(税別)。調理容量は1.5L |
象印が初めて自動圧力IHなべ(EL-MA30)を発売したのは2014年9月のこと。発売当初から、「忙しくても手軽においしい家庭料理を作りたい」というニーズに応える製品として注目を集めた。その後、シャープから電気無水鍋「ヘルシオ ホットクック」、ティファールから未来型クッキングサポーター「Cook4me」といった製品も発売され、「ほったらかし調理家電」の市場は徐々に広がってきている。
独自の可変圧力調理を搭載
調理のポイントは「可変圧力」だ。これは1.0気圧と1.2気圧を交互にかけていくもので、1.2気圧から1.0気圧に減圧する際に煮汁を対流させながら煮込む。そのため、落とし蓋をした時のように、少ない煮汁で食材を十分に煮込めるという。また、可変圧力には、食材を柔らかくする効果もあるそうだ。
もう1つの調理方法が「一定圧力」だ。象印マホービン 第一事業部の後藤譲マネージャーは、「圧力鍋は1.8~2.0気圧といった高圧で調理します。すると、調理時間は早くなりますが、煮崩れがおきてしまうことがあります。当社の一定圧力では、煮崩れしにくい1.2気圧で調理するので、魚介類や野菜類といった食感を残したい食材にオススメです」と話す。
可変圧力と一定圧力は手動で切り替えることも可能だが、EL-MB30ではメニュー番号を選ぶだけで調理できる「おまかせ自動調理」も新搭載した。
おまかせ自動調理は、材料と調味料を入れてメニュー番号を選択すれば調理が行える機能。食材の水分と最低限の調味料で調理する「無水調理」や、温度調節が難しい甘酒づくりなどに最適な「温度調理」などを使ったレシピも、メニュー番号で選択できる。
予約調理、自動調理など便利な新機能
新製品では、初代モデルのユーザーからリクエストがあった予約調理や保温調理機能も搭載した。
「他社の予約調理の例ですが、A社では肉などの生ものの調理を禁止しています。B社の場合は、75℃で一定加熱した後に再加熱をするという仕組みですが、75℃は比較的高温なので、肉がかたくなりやすいと思われます。
当社のEL-MB30では、衛生面を考慮して温度が50℃以下にならないようにしており、さらに肉のうま味流出を防ぐため、一度100℃で加熱しています。一定加熱の際は60℃まで温度を下げるので、肉がかたくなるのを防ぎ、野菜の煮崩れも抑えます」(後藤氏)
予約は、出来上がり時間の最大12時間前からセット可能。保温は調理後最大12時間まで対応している。
予約調理と温度調理が魅力的
EL-MB30で特に魅力を感じたのは、予約調理と温度調理。朝食材をセットしておけば、夜におかずができているというのは嬉しい機能だ。残業で疲れた日も、帰ったときにできたての料理が用意されているというのは本当に幸せ。EL-MB30の場合、野菜の煮崩れや肉がかたくなるのを防ぐところもよい。クリーニング機能という、ニオイの残りを抑える機能も搭載しているので、ニンニクなどを使った後に重宝しそうだ。
温度調理なら、健康や美容に良いとして注目を集める甘酒も気軽に自家製できる。ヨーグルトも作れるので、機能性ヨーグルトの量産にもチャレンジしてみたいところだ。また、炊飯したり、吹きこぼれを抑えながら乾麺を茹でたりと、主食の調理にも対応するという。
「ほったらかし調理家電」というと子育て世帯や共働き世帯に人気なイメージだが、炊飯もおかずづくりもこれ1台でできるので、キッチンスペースに限りのあるシングル世帯にも向いていそう。忙しい人にぜひオススメしたい製品だ。