Microsoftは、ドイツ・ベルリン開催の世界最大級コンシューマーエレクトロニクス展示会「IFA2017」(会期は9月1日~6日)の基調講演で、Windows 10 Fall Creators Updateを10月17日から全世界に向けて提供することを表明。Windows/デバイスグループ担当VPのテリー・マイヤソン氏が明らかにした。

この日からの提供を目指し、早期評価プログラムであるInsider Buildも着々と進み、会期初日の9月1日には最新ビルドとしてBuild 16353が公開されている。Windows 10 Fall Creators Updateは、「想像力と遊び心を刺激する」というアピールで知られる最新のWindowsアップデートで、開発者向けにはコードネームRedstone 3(RS3)として知られる。

Microsoftのテリー・マイヤソン氏

Microsoftは、Windowsの大型アップデートを毎年3月と9月にOfficeのアップデートと併せて公開する方針をとっている。前回は、4月にバージョン1703(17年3月を意味すると思われる)が公開されているが、今回は約束通り、その半年後となる。バージョンはおそらく1709となるだろう。Insidr buildは、すでに最終調整の段階に入っていて、リリースに向けた堅牢性の確保にフォーカスされ、不具合の修正が作業の中心となっているほか、すでに、次の次のアップデートであるRS4への分岐も行われている。

今回のIFA2017では、各社からPC新製品も発表されているが、最新ノートPCの多くは、インテルの最新プロセッサ第8世代Core iシリーズを搭載した製品だ。ただ、これらの製品にWindows 10の最新バージョンが搭載されかどうかは微妙なところだ。いわゆるクリスマスシーズンの発売には、各社の検証が間に合わない可能性もあるからだ。

IFA2017初日の2日前には、Mirosoftは、Windows 10のAIアシスタント「Cortana」と、アマゾンのAIアシスタント「Alexa」の相互接続を発表し、それに引き続いて基調講演でのWindows 10 Fall Creators Updateの発表と、Microsoftにとっては重大な発表が相次ぐあわただしい期間となった。なお、Fall Creators Updateというバージョン名は、5月に米/シアトルで開催された開発者向け会議Build 2017でアナウンスされていたものだ。一部の国ではFallではなくAutumnと呼称されることにもなるようだ。

Windows 10 Fall Creators Updateには、Windows Inkの改善、フォトアプリによるストーリー作成、OneDriveのオンデマンド対応、ゲームモードの機能強化、視線追跡機能によるアクセシビリティ向上といった盛りだくさんの内容が含まれる。

また、この基調講演では、Windows Mixed Realtyによる複合現実のサポートも発表された。Windows 10 Fall Creators UpdateとMicrosoftのMRといえば、Hololensを想像するが、今回は、その体験をより低価格なデバイスで経験できるようにし、サードパーティ各社から対応デバイスが発売されることになる。素通しで現実社会が見えている中にホログラムでバーチャルを投影するHololensとは異なり、カメラが捉えた画像を写す液晶画面にバーチャルを投影する方式でコストを抑えている。また、スタンドアロンで使えるHololensとちがって、別途、PCが必要となる。PCに対応ヘッドセットを接続することで利用できるわけだ。

この対応ヘッドセットを提供する最初のサードパーティパートナーは、Acer、ASUS、Dell、HP、Lenovoなどで、価格は驚きの299ドル~、また、コントローラが添付されたセットはAcerとDellから提供される予定とのことだ。これらのヘッドセットはWindows 10 Fall Creators Updateの提供開始と同時に発売開始となる。

ちなみに、Windows MRは、Mixed Reality Viewerを使うことで、ヘッドセットなしでも楽しめる。ただし、現時点での最新Insider Previewでも、まだ、Viewerの存在は確認できていない。すでに開発の最終段階にきているWindows 10 Creators Updateだが、10月中旬にまでずれこんでしまうのは、その対応の最終調整が必要なのだろう。

このほか、基調講演では、パートナー各社が発売することになる最新のPCもあわせて紹介されている。その中には日本の富士通のLIFEBOOK P727が含まれていた。Windows 10 S搭載の2in1コンバーチブルノートPCだが、この秋には日本でもWindows 10 S搭載機が登場する旨がアナウンスされていることから、この製品が一番乗りを果たす可能性が高い。

富士通のLIFEBOOK P727