オンキヨー&パイオニアは、ドイツ・ベルリンで開催中のエレクトロニクスショー「IFA2017」の会場にブースを構え、GoogleやAmazonのAIアシスタントを搭載したオンキヨーのスマートスピーカーや、日本でもお馴染みのパイオニア「RAYZシリーズ」のiOSアクセサリーをメインに展示している。
3大AIアシスタントすべてと手を組む
オンキヨーブランドのスマートスピーカーについては、Amazon Alexaを搭載した「VC-FLX1」を北米で9月末に発売することが明らかになっていたが、今回のIFA2017では欧州市場向けて2機種を新たに発表して注目を集めた。
ひとつはGoogle アシスタントを搭載する「G3」(VC-GX30)だ。本機が発表されたことで、オンキヨーはAmazon AlexaとGoogle アシスタントの2本柱でスマートスピーカーを開発・商品化していくことが表面化した格好だ。
ちなみに、パイオニアのRAYZシリーズはLightning直結型のイヤホンとポータブルサイズのカンファレンスマイクがすでに発売されている。これらはアップルとの共同開発によって、iPhoneやiPadでお馴染みのAIアシスタント「Siri」との連動を実現している。つまり、オンキヨー&パイオニアは、AIアシスタントの3大メジャーとマルチに手を組む数少ないブランドであることが浮き彫りになった。
立方体に近い形のコンパクトスピーカー「G3」の特徴は「オンキヨーならではの高音質である」と、オンキヨー&パイオニア マーケティング部 部長の佐藤誠氏は説明する。コンパクトなエンクロージャーの中には専用設計の2cm径ソフトドーム・ツイーターと8cm径ウーファーユニットを配置。小さくてもパワフルな音を鳴らせるように、ウーファーはマグネットの磁力を強化したカスタムメイド品。これを強靱なフレームに固定することで、従来に比べて約1.5倍のストロークパワーを引き出す。
G3をインターネットに接続すれば、Google Play ミュージックをはじめとする音楽ストリーミングサービスを楽しめる。GoogleのChromecast built-inに対応する機器とホームネットワーク上で連携して、マルチルームで再生することも可能だ。佐藤氏によれば、現在オンキヨーからは約70モデルのChromecast対応オーディオ製品が発売されているので、これらの製品とG3による音声操作を連動させて、快適な音楽再生環境を構築できそうだ。
Googleアシスタントを搭載する「G3」と、Amazon Alexaを搭載する「P3」はともに10月から230ユーロ前後で発売される予定だ。気になる日本向けの展開については、オンキヨーグループでスマートデバイスを担当するAI/IoT事業推進室 室長の宮崎武雄氏が「ぜひ前向きに検討したい」と力を込めて語っていた。
ちょうど話題に上ったAmazon Alexa対応の「P3」だが、こちらの製品も見どころはオンキヨーの高音質テクノロジーである。楕円形のきょう体はサイズが少しG3よりも大きくて背が高い。エンクロージャーの中には6cm径のフルレンジウーファーを2基と、合計20Wのアンプ、DSPを内蔵している。デュアルパッシブラジエーターも搭載しているので、中低音の厚みをしっかりと再現できるのが魅力だ。
オーディオ関連の機能では「DTS Play-Fi」をサポートした点に注目だ。Wi-Fi経由でハイレゾ音源を含むロスレス再生に対応する。オンキヨーは2017年の春からソフトウェアアップデートにより、複数のオーディオ機器をDTS Play-Fiに対応させている。P3もハイレゾ再生に対応するスペックを持っているので、高品位なマルチルーム再生環境を作りたい方におすすめできる。
IFA2017では、Amazon Alexaに対応したスマートな生活家電が数多く展示されている。その波がスマートスピーカーとともに、早く日本にも訪れて話題を巻き起こすことを期待したい。宮崎氏は、白物家電さらには家電以外の業界とのコラボレーションにも積極的に取り組みたいと、オープンな姿勢を見せる。
ほかにも、パイオニアブランドからスポーツ用ワイヤレスイヤホンの新製品「E3シリーズ」や「SE-CL5BT」などを発表。ブンデスリーガのボルシア・ドルトムントのオフィシャルグッズとして発売されるイヤホン「SE-E38V8」も展示されていたが、箱に入っている状態だったので音を確かめることはできなかった。スポーツイヤホンは日本でも人気の高いアイテムなので、国内でのリリースも期待したい。オンキヨーとパイオニアのハイレゾDAPの試聴コーナーも常時行列が絶えない人気ぶりだった。