労働政策研究・研修機構はこのほど、「人材育成と能力開発の現状と課題に関する調査」の結果を発表した。企業調査の調査期間は2016年9月~10月(調査時点9月1日)、有効回答は従業員数5人以上の企業6,825社。労働者調査の調査期間は2016年11月、有効回答は18~65歳の正社員・非正社員1万人。

9人以下の企業、4社に1社が「特に方針なし」

従業員に対する人材育成・能力開発の方針を聞くと、17.9%の企業が「人材育成・能力開発について特に方針を定めていない」と回答。従業員規模別にみると、規模の小さい企業ほど「特に方針を定めていない」と答えた割合が高く、9人以下の企業では25.2%を占めた。

従業員に対する人材育成・能力開発の方針(出典:労働政策研究・研修機構Webサイト)

企業が実施しているOJT(現任訓練)(複数回答)は、1位「とにかく実践させ、経験させる」(59.5%)、2位「仕事のやり方を実際に見せている」(55.2%)、3位「仕事について相談に乗ったり、助言している」(50.8%)の順となった。

従業員に対し、仕事を効果的に覚えるために今の会社で仕事をする中で経験した人材育成や能力開発(OJT)を尋ねたところ、従業員数9人以下の企業に勤務する従業員の34.2%が「経験がない」と回答した。

2015年度にOFF-JT(職場外訓練)を受講した従業員は14.7%(正社員16.5%)。従業員規模別にみると、30人未満では9割以上が受講していないことがわかった。

受講したOFF-JTにより得られた技能・知識などが仕事に役立った(「どちらかというと」含む)と答えた割合は、正社員86.0%、契約社員91.3%、パートタイマー・アルバイト88.4%と、いずれも8割以上に達した。同法人は「企業規模にかかわらず従業員に対する人材育成・能力開発は引き続き重要である」と指摘している。