帝国データバンクはこのほど、「ワイン製造業者の経営実態調査」の結果を発表した。同調査は、信用調査報告書ファイル「CCR」や外部情報などを基に抽出したワイン製造業者のうち、2017年8月時点の企業概要データベース「COSMOS2」に収録されている206社を抽出・分析したもの。
ワインメーカー、山梨県が最多
ワインメーカーは全国に206社あり、このうち「果実酒醸造業」を主業とし、葡萄酒醸造を専門に行っているワイナリーは138社だった。
ワインメーカーを本社所在地別にみると、「山梨県」の69社(構成比33.5%)が最も多く、その中でもワイン産業が多い「甲州市」(33社)、「笛吹市」(14社)、「山梨市」(12社)の3市に集中していることが判明。以下、「長野県」19社(同9.2%)、「北海道」の18社(同8.7%)と続き、上位3道県で全体の5割超を占めた。
1位の山梨県には、マンズワインなどワイン醸造を主業とする大手醸造メーカーのほか、フジッコワイナリーなど本業とは別事業としてワイン醸造を手掛ける企業もみられた。
ワイナリーを設立年代別にみた場合、2000年以降に設立されたワイナリーが36社(同26.1%)と、全体の約4分の1を占めた。規模別では、従業員数20人以下の小規模ワイナリーが119社と、全体の86.2%に上った。売上高規模別では、「5,000万円未満」の50社(同36.2%)が最多となった。
ワイナリーの売上高・収益動向をみると、2016年に「増収」となったのは45.5%、「増益」となったのは57.1%。一方、「減益」となったのは30.6%で、帝国データバンクによると、国産ブドウ価格の上昇により利益の確保が難しくなっているケースもあったという。
同社は今後の課題として、「量的・価格的に安定した国産ブドウの確保」を挙げた上で、安定したワイン産業発展のためには官民一体となった継続的なサポートが求められるとしている。