ライオンのリビングケア研究所はこのほど、「秋カビ」に関する実験結果を明らかにした。

一定温度下でのカビ培養結果(6日後)

同研究所では、首都圏にある6軒の一般家庭で浴室内の1年間の温度・湿度を定期的に観測している。

今回は、それぞれの季節を想定した温度条件で、実験によりクロカビの生育状態を観察した。その結果、夏の気温(33℃)を想定した条件では、カビの増殖が抑えられることがわかったという。一方、秋の気温(27℃)を想定した条件では、カビが増殖しやすいことも確認できたとのこと。

さらに、夏から秋へと気候が変化したときのカビの生育状況を確認するために、夏を想定した気温(33℃)で培養したカビを秋の気温(27℃)に変えて培養を継続した。すると、増殖が抑えられていたカビが温度条件の変化に伴い再び増殖を始め、秋になると再び活発になって増殖することがわかったという。

夏気温から秋気温に変化したときのカビの培養結果

次に、夏を想定した気温(30℃)で培養した「秋カビ」と、梅雨を想定した気温(25℃)で培養したカビとを、カビの生育には適さない過酷条件(45℃に設定した試験容器)に置いて、生菌数の推移を比較した。その結果、「秋カビ」は、過酷な条件で生菌数が減少するものの、その低下は緩やかで耐性が高まっている可能性が示唆されたとのこと。

培養温度別カビの生菌推移

同社が8月に20~30代女性100人を対象に、カビが生えやすいと感じる季節はいつか尋ねたところ、最も多い回答は「梅雨(5~6月)」(79%)で、「秋(9~11月)」はわずか12%だった。秋は梅雨と同じくらいカビが生えやすい季節であるにも関わらず、生活者は秋にカビが生えやすいと感じていないことがわかった。

カビが生えやすいと感じる季節はいつですか

実際にカビ対策をしている季節を聞くと「梅雨(5~6月)」時の実施者の割合が60%なのに対し、「秋(9~11月)」は22%だった。秋に実施している人は、梅雨時の3分の1程度となっている。「秋カビ」は生活者の意識が低く、対策もせず油断していることが明らかとなった。

実際にカビ対策をしている季節

LIONリビングケアマイスターの吉井和美氏によると、気象庁のデータでは9月は6月とほぼ同等の平均気温・湿度になっており、秋もカビの生育に適した環境と言えるという。今のうちに浴室の夏の汚れを落とし、防カビ対策をすることが大切であるとのこと。

シャワーの際、立って洗う機会が多いのであれば、壁の高い位置も浴室用洗剤を使って掃除することが大切だという。また、一見きれいに見える浴室でも、見えないカビの原因菌が潜んでいる場合があるとのこと。見えないカビの原因菌を除菌すると、黒カビの発生を防ぐことができるとしている。