北海道豊浦町は9月1日から、「日本一の秘境駅」といわれるJR室蘭本線小幌駅を中心とした小幌エリアの写真を募集する「秘境小幌フォトコンテスト」を実施する。

「日本一の秘境駅」として鉄道ファンに知られるJR室蘭本線小幌駅

「秘境小幌フォトコンテスト」は小幌駅周辺が審査対象エリアとなる

小幌駅は噴火湾沿いのトンネルとトンネルの間にある長さ約80mの谷間にある無人駅。1943年に列車がすれ違うための信号場として設置され、1987年に駅となった。三方を崖に囲まれているため、車で行くことはできず、徒歩で近づくこともきわめて困難であることから、事実上列車でしか行けない駅として、牛山隆信氏の著書『秘境駅へ行こう!』の秘境度ランキングで日本一にランクされた。

だが、周囲に民家はなく、鉄道ファンがときおり乗降りするだけといった状況が続いたことから、JR北海道は2015年に小幌駅廃止の方針を豊浦町に通知した。これに対し、観光振興の観点から小幌駅の存続を望む同町は駅と周辺の維持管理を町が負担するとの条件を提示し、2016年度の1年限りで駅を存続するとの決定を勝ち取った。その後の交渉により、2017年度も同じ条件で1年限り存続することが決まっている。

今回実施するフォトコンテストは、秘境駅としての小幌駅はもちろんのこと、手つかずの自然に生息する野鳥や植物、断崖に囲まれた入江、円空が5体の観音像を納めたとされる小幌洞窟など、小幌エリア全体の魅力を写真で発信することが目的。このため、小幌駅だけでなく周辺の海岸や山林なども審査対象エリアに含まれ、必ずしも駅や列車が写っている必要はないとのこと。撮影時期や季節も自由で、過去に撮影した写真も応募可能。応募は1人5点までで、豊浦町公式サイトからダウンロードできる応募用紙に必要事項を記入の上、写真データを収めたCD-RかDVD-Rに出力見本を添えて郵送で応募する。応募締切は11月6日(当日消印有効)。

鉄道写真家の矢野直美氏や小幌駅の駅ノート管理人水瀬雅美氏ら6名からなる選考委員が審査を行い、最優秀賞1点と優秀賞最大6点、入選最大12点を選出する。2018年1月頃にインターネット上で結果を発表し、入賞者には賞品として豊浦町産の旬のホタテを送る予定。入賞作品を用いた2018年度版の卓上カレンダーも制作し、ノベルティなどとして活用する計画もあるという。