SBI証券はこのほど、確定拠出年金(以下iDeCo)をテーマにしたセミナー「知ってトクする! プロが教えるiDeCo活用方法! ~iDeCoを使って賢く節税&将来の準備~」を開催した。このレポートでは、セミナーで紹介された「iDeCoにおける金融機関選びのポイント」をお伝えする。

セミナー会場の様子

金融機関選びでは「口座管理手数料」に注目

「iDeCo」とは公的年金に上乗せして、老後資金の準備ができる制度。加入者は金融機関を一つ選び、口座を開設して拠出・運用を行う。受給開始は60歳から70歳までの間で選択することができ、拠出額と運用収益の合計額を一時金または年金として受け取る。所得税・住民税の軽減効果や運用益非課税など税制上のメリットが大きく、2017年1月からはほぼすべての人が加入できるようになったことから、注目を集めている。

セミナー第一部「iDeCoって何? iDeCoの基礎知識を徹底解説」の講師である竹川美奈子氏はLIFE MAP, LLC代表のファイナンシャル・ジャーナリストだ。自身も10年以上前から確定拠出年金に加入し、年金資産を積み上げてきたという。竹川氏はセミナーで金融機関を選ぶポイントとして「口座管理手数料」「商品の品揃え」「利便性・サービス」の3点をあげる。

竹川氏「iDeCoでは加入時の手数料や加入後に口座管理手数料を払う必要があります。今年に入って加入対象枠が広がり、手数料が下がってきているものの、まだまだ金融機関によって差があります。口座管理手数料はネット完結型金融機関が安い傾向にあります」

加入時(初回のみ)にかかる口座開設手数料が安いのはSBI証券、楽天証券、みずほ銀行、第一生命保険でそれぞれ2,777円。運用中に毎月かかる口座管理手数料はSBI証券、楽天証券、みずほ銀行、大和証券、第一生命保険で、いずれも167円(2017年7月20日時点)。ただし特定の要件を満たしていない場合、手数料が変更になる金融機関もある。加入前に要件を満たすことができそうかを確認しておく必要がありそうだ。

竹川氏「手数料について、口座管理手数料より投資信託にかかる手数料を重視するべきという人もいらっしゃいます。もちろん両方加味した方がいい。ただ、口座管理手数料が安い方がいいでしょう。iDeCoでは掛け金から手数料が差し引かれ、残りが預け分・買い付け分となります。つまり、口座管理手数料は元本に回るお金に影響を与えるのです」

口座管理手数料が最低額の月167円の場合、年間でかかる費用は2,004円。一方、手数料が高い金融機関では月600円、年7,200円というところもあるという。年間の手数料を比較するとその差は約5,000円。月々の掛け金上限が決まっているiDeCoで、年間5,000円はかなり大きなインパクトになるだろう。

「品揃え」「利便性」も考慮が必要

金融機関選びでは「品揃え」についても考慮したい。iDeCoの商品は大きく「元本確保型」と「投資信託」の2種類に分類される。元本保証型は預金や保険、投資信託では日本株式型・日本債券型・外国株式型・外国債券型・バランス型などがある。

竹川氏「各資産クラスの商品がバランス良く揃っているか、インデックスファンドがちゃんと入っているか。インデックス投資信託の場合は運用管理費用の低い商品はあるか、アクティブ投信では買いたい商品があるかが重要です」

また、「利便性・サービス」については、コールセンターの対応時間、窓口での説明や申込受付の有無、対応店舗数や時間のほか、Webサイトの見やすさや情報・ツールの有無がポイントになるとのこと。

長期的な分散投資ができるiDeCo。長い付き合いになるからこそ、金融機関選びは慎重に行いたいものだ。加入を健闘している人は、3つのポイントを参考に自分にあった金融機関を探してみてほしい。