母乳が出なかったり、子どもを預けたりする時などに活躍してくれる粉ミルク。雪印ビーンスタークは9月1日、この粉ミルクをより母乳に近づけるための商品「ビーンスターク 赤ちゃんのプロバイオ ビフィズスM1」を発売する。

1日分でビフィズス菌10億個を摂取できるオイルドロップスで、調乳した粉ミルクに入れて使用するもの。既に世界30カ国以上で販売されているもので、同社によると、日本に上陸するのは初めてなのだそうだ。早速、商品発表会を取材してきた。

粉ミルクに入れることで赤ちゃんがビフィズス菌を摂取できる「ビーンスターク 赤ちゃんのプロバイオ ビフィズスM1」

赤ちゃんにとってのビフィズス菌って?

発表会では同社の商品開発部・高橋朋樹さんが、ビフィズス菌を摂取することの意義や商品の使用方法などを解説してくれた。

高橋さんによれば、ビフィズス菌は乳児の腸内で最も多く存在している細菌なのだという。「ヒトの腸内には1,000種を超える、約100兆個もの細菌が存在しています。特に乳児の腸内では、大人とは異なり、ビフィズス菌が大部分を占めるのが特徴です」。

赤ちゃんの腸内細菌は多くがビフィズス菌

赤ちゃんは、母親の産道や、母乳などからビフィズス菌を獲得しているとのこと。実際に、粉ミルクで育つ人工栄養児よりも母乳栄養児、帝王切開児よりも自然分娩児の方が、ビフィズス菌が多いという研究結果も出ているそうだ。

母乳栄養児と人工栄養児の比較

自然分娩児と帝王切開児の比較

「生後早期に抗生物質を使うなどして、腸内フローラ(腸内の細菌の集まり)のバランスを乱してしまうと、成長後にアレルギー疾患や生活習慣病の発症に影響が出ると言われています。いずれにせよ、生後早期の腸内環境が健康に重要な影響を及ぼすということが、近年分かってきています」。

ビフィズス菌の量を母乳栄養児に近づけたい――。赤ちゃんの健康に寄与したいとの思いから、同商品の発売に至ったのだという。

海外に広がる習慣、日本にも

同社によれば、海外ではビフィズス菌を配合した粉ミルクが多く存在するそうだ。調乳後、オイルを添加するよりも、そもそも最初からビフィズス菌が入っていた方が便利な気がするが、なぜ日本にはそのような商品がないのだろうか。

「日本では、粉ミルクを出荷する時の生菌数が省令で制限されているのですが、その数は、良い菌、悪い菌問わずにカウントされてしまいます。そのため(粉ミルクに添加するのは難しく)調乳後、粉ミルクに加えるアプローチを選択しました」。

これまで同社では、ビフィズス菌などのエネルギー源となるオリゴ糖を配合した粉ミルクや、母乳を出す母親が乳酸菌を摂取するための商品などを取り扱っていたとのこと。調乳後の粉ミルクにビフィズス菌を含んだオイルを加えるというスタイルは、他社も含めて日本における新たなアプローチであり、期待を寄せているという。

無味無臭で0カ月から使える

1日6滴を粉ミルクにたらして使用する

ひまわり油をベースとした無味・無臭の同商品。ビフィズス菌の中でも、胃酸や胆汁酸、熱に強いといわれる「BB-12」を使用していて、1日6滴(数回に分けても可)、調乳した粉ミルクや離乳食にたらして使用する。初めて使う時は1分間、毎日使う時は10秒間よく振り混ぜた後、容器を逆さにするだけで、オイルがこぼれる仕様になっていて、生後0カ月から使用できるそうだ。

常温保存が可能で、賞味期間は2年間(開封後は1カ月)。8ml(約20日分)で、価格は税別2,240円となっている。

「国内ではヨーグルトなどにも入っているビフィズス菌なので、何歳まで利用しても大丈夫ですが、離乳期までを目安に使われると良いと思います」と高橋さん。粉ミルク育児のママは、一度試してみてもいいかもしれない。