『ダークナイト』(08)、『インセプション』(10)のクリストファー・ノーラン監督が手がけた史実に基づく戦争映画『ダンケルク』(9月9日公開)のジャパンプレミアが23日、東京・丸の内ピカデリーで開催。来日したノーラン監督と、興収87億円を超えた映画『永遠の0』(13)の山崎貴監督が登壇した。
『ダンケルク』は、第2次世界大戦でのダンケルクでの大撃退と、民間の船舶も総動員した救出作戦が描かれる。360度全方位から迫る究極の映像体験ができると話題騒然で、すでに2018年のアカデミー賞最有力候補と呼び声が高い。
本作の監督・脚本・製作を務めたクリストファー・ノーラン監督は、『インセプション』以来7年ぶり4度目の来日となった。「僕は英国人ですが、ダンケルクの物語は子供の頃から聞かされて来た話です。でも、この映画を撮るにあたっては、世界中の観客に見せたいという思いで作りました。非常に普遍性のあるストーリーで、超えられない壁を超える、窮地に追い込まれて、そこから勝利を勝ち取るというヒューマンストーリーだと思っています」
山崎監督はノーラン監督作の魅力について「CGに頼らないという姿勢を貫いてらっしゃる。本当にその場所に連れていかれるような臨場感があります。戦場っていうのはこんなに怖いところかと。ずーっとドキドキしていました。戦場に行ってきた!と感じました。映画というよりは体験でしたね」と興奮気味に話す。
山崎監督は映画を観た感想について「本物すげえ!ってことです。僕はCGに頼りがちなんですが、出て来るものがすべて本物で、本当に爆発してるし、本当に沈んでるし、そういうことが次々と起こる。本当にやっているからうらやましいなと」と感嘆した様子。
ノーラン監督は山崎監督について「(予算など)いろんな限界がある中で、『永遠の0』を作られたのは素晴らしい」とねぎらった。
また、ノーラン監督は、いろんな工夫をして『ダンケルク』を撮っていると、一部種明かしをした。「ハリウッド映画として予算がつくと選択肢が広がるけど、できるだけカメラで収めることが肝心。我々が常に意識するアプローチは、古い映画を参考にしつつ、経験豊かなスタッフに声をかけ、なるべくCGを使わずに古いテクニックを使うこと。たとえば、ペインティングを背景に使ったりもします。塗り込んで(人が)大勢いるように見せたりするんです」
山崎監督は「そこまでやってるんですね! 勇気をもらったりします」と驚き、「僕もできるだけ実写で撮ろうと思っているんですが、あまりにもレベルが違いすぎて、すごいなと思いました」と感動しきりだった。