帝国データバンクは8月22日、アニメ制作企業230社の経営実態調査の結果を発表した。それによると、2016年のアニメ制作企業の収入高総合計は1,813億4,700万円となり、過去10年間で最高額を更新した。ビデオ・配信売上高合計は減少傾向にあるものの、放映本数の増加が続いていることが反映された。

増収企業は2年連続減

1社当たり平均収入高は7億9,900万円にとどまり、10年間で約4割減少した。帝国データバンクによると、製作費が安価な中国・韓国企業が台頭する一方、国内でも新興企業が相次いで設立されたことが影響したという。

アニメ制作企業の収入高総合計推移(出典:帝国データバンクWebサイト)

収入高動向をみると、増収企業の割合は35.5%(前年43.1%)と2年連続の縮小。減収企業は30.4%(同27.7%)と過去5年間で初めて3割を上回った。制作企業の増加などにより、収入高が伸び悩む傾向にあるという。

収益動向については、増益企業が44.2%(同30.8%)、減益企業が46.5%(同60.4%)となった。2012年以降、減益企業は増加傾向で推移しており、特に2015年は過去5年間で最高の60.4%に達している。

近年のアニメ制作企業の倒産をみると、「サムライチャンプルー」などを製作していたマングローブや、「ストラトス・フォー」などを制作していたスタジオ・ファンタジアなどが判明。「業況の低迷による収益減で破産となったケースが多い」(帝京データバンク)という。

帝国データバンクは、今後もアニメ産業が発展を遂げるためには、「下請制作会社を含めた十分なアニメ制作費の確保など、アニメ産業全体の抜本的な収益構造改革などの改善策が早急に求められよう」と指摘している。