9月16日公開の映画『望郷』の完成披露上映会が22日、東京・新宿武蔵野館で行われ、貫地谷しほり、大東駿介、菊地健雄監督が出席した。
『告白』や『白ゆき姫殺人事件』など、ヒット作を連発している人気ミステリー作家・湊かなえのベストセラー短編集『望郷』を、貫地谷しほり、大東駿介、木村多江、緒形直人ら豪華キャストで映画化した本作。全6編で構成されている小説から、『夢の国』と『光の航路』が劇中で描かれており、『夢の国』で4年ぶりに映画主演を果たした貫地谷が、古いしきたりに縛られて事件を起こしてしまう夢都子役を、『光の航路』で過去の確執を抱えたまま死別した父の思いを知る中学校教師・航役を大東が熱演している。
完成披露上映会の前に舞台あいさつが行われ、貫地谷と大東、そして菊地監督が登壇。初めてタッグを組んだ菊地監督について貫地谷は「妥協が一切なく、心の中で微妙だったと思うと、監督が『もう1回やろう』と言ってくださり、細かいところまでじっくり見てくれる安心感とうれしさがありました」と印象を語った。一方の大東も「出会った時に『この人を信じれば大丈夫』と思いました。湊さんの故郷である因島で撮ることを本当にやってしまったし、それぞれがこの作品をよりよい形にとみんなが理解していて、それは監督の力だと思いました。映像に映ってない監督の仕事があるんだと感じましたね」と絶賛すると、菊地監督は「まずいですね。恐縮です(笑)」と照れ笑いを浮かべていた。
貫地谷が主演を務めた『夢の国』は、全編手に汗握る緊張感が漂うが、ロケ地での貫地谷について大東は「苦しんでいると思いました」と気遣うと、貫地谷は「そうなんですよ。本当に苦しかったんです」と撮影時の心中を激白。貫地谷とは対照的で因島に慣れ親しんだのが大東だったようで、貫地谷は「久々に東京に帰り、また因島に戻ってくると、大東さんはめちゃくちゃ謳歌していたんです。ご飯もたくさん食べていたみたいだし睡眠時間も余裕だと。『私は何だったんだ!』と思いましたね。私なんてスタッフさんと死んでました(笑)」を嘆きつつ、「きっと誰しもが感じたことのある窮屈さが写っています。そこから一歩前に出る、勇気が出てくる映画になっていると思います」と作品の出来には自信を見せていた。映画『望郷』は、9月16日より新宿武蔵野館ほか全国拡大上映。