「FinTech(フィンテック)」という言葉がさまざまな場面で聞かれる一方で、その実態を知らない人が多いのが実情だろう。富士通総研がWebサイトで公開している言葉をそのまま引用すれば、「ICTを駆使した革新的、あるいは破壊的な金融商品・サービスの潮流」のことを指す。
FinTechの「Finance」は金融を表す言葉だが、監督官庁も当然金融庁。同庁が先陣を切ってベンチャーなどのフィンテックに関する動きを支援するFinTechサポートデスクの設置や、諸外国の動き、フィンテックの現状把握などを行っている(同庁のレポートはこちら※PDF)。
一方で、経済活動の発展・支援を行う経済産業省も、5月に「FinTechビジョン」を取りまとめるなど、国を挙げて金融インフラの刷新、先進的なサービスの立脚を目指す様子が伺える。ただ、一般消費者からすれば、フィンテックと言われても、最終的にその具体的な利用イメージが湧かないのも実情だろう。
経産省がYouTubeで公開した「フィンテック入門」
そんな「わかりにくいフィンテック」をわかってもらうために、経済産業省がある動画をYouTubeにアップした。それが、上記のFinTechビジョンのプレスリリースに掲載されている「フィンテックがある1日 ~お金が変わる。社会が変わる~」だ。ある人物の1日の生活をベースに、今は不便と感じていることが、さまざまなフィンテックサービスによって便利になると解説している。
テレマティクス保険
事例の一つ目は、朝、通勤で車を利用している男性。男性は、安全運転しているにもかかわらず、自動車保険料が高止まりのまま。しかし、スマホと連動するOBD2機器などが車の走行データを収集することで、運転者が安全運転しているか判断でき、保険料が下がる。
このフィンテックは、テレマティクス保険などとも呼ばれ、ソニー損保の「やさしい運転 キャッシュバック型」や、あいおいニッセイ同和損保の「つながる自動車保険」、損保ジャパン日本興亜の「スマイリングロード」などがある。来たる自動運転時代にはこのフィンテックが無用となる可能性はあるが……。
ロボアドバイザー
二つ目は株式投資のフィンテック。仕事中は株などの投資資産の値動きを確認できず、不安になる男性。そこで、いわゆるロボアドバイザーという人工知能ロボットが、値動きを監視しながら自動取引することで、金融資産の最適なポートフォリオを構築してくれる。
ロボアドバイザーは、主な投資銀行や証券会社などがさまざまなサービスを提供しており、手数料も一般的な投資信託よりも割安と言われている。また、AI分野の知見を持つベンチャー企業も参入しており、ウェルスナビやお金のデザインのTHEOなどが注目を集めている。