カードをかざせばモノが買えたり、ATMからはいつでもお金が出てきたり……。お金をリアルなものとして感じにくくなっている今だからこそ、マネー教育の大切さを感じている方も多いのではないでしょうか。
とはいえ、子どもが小さいと「まだ早いかな?」「何から始める?」と迷う気持ちもあるかもしれません。日常生活の中で、少し意識するだけでできる簡単マネー教育をご紹介します。
早いものでもうすぐ夏も終わり。夏祭りには行きましたか? 金魚すくいにスピードくじに綿菓子……。夏祭りの屋台は、子どもたちにとって宝の山。ちょっと気になるものが目に入るたびに「買って! 買って!」と言ってしまうのも、無理はないのかもしれません。
子どもに"欲しいもの"が出てきたら、それはお金について話すいいチャンスです。難しい話は伝わりにくいかもしれませんが、今からできることはたくさんあります。その中の1つが、スーパーでのお買い物体験です。
ルールを決めて自分で選ぶ体験を
電子マネーの普及で"お金には限りがある"ということを日常生活で実感することは、ますます難しくなっています。だからこそ、子どもには"限られた中から自分で選ぶ力"を身に付けてもらいたいものです。
それには、子どもが自分で体感するのが1番! わが家の子どもたちもまだ小さいので、1人で買い物に行かせるのは不安です。そのため、一緒に買い物に行った時に、週末のおやつを自分で買ってもらうことから始めています。
5歳になる息子には「108円まで」、2歳の娘には「1つだけ」というルールを設定して、あとは好きにおやつを選んでもらっています。あれもこれも欲しいものがあるなかで、「何にしようか?」と迷いながらも、毎回楽しそうに選んでいます。
練習だから失敗は大歓迎! 黙って見守る
見るからに体に悪そうなお菓子や、おもちゃ付きでお菓子は少ししか入っていないものなど、子どもが選ぶものを見ていると、ついあれこれ口を挟みたくなりますが、そこはぐっと我慢! 黙って見守ります。
もし買ったお菓子が失敗だったとしても、自分で選んだからこそ失敗も自分ごととして受け止められます。子どもに自分で買い物をしてもらうのは、失敗を経験するためのもの。小さい時の失敗はいくらでも挽回できます。どんどん失敗して、子どもたちの経験値を増やしてもらいたい。そのためには、先回りしてせっかくの失敗経験を奪うことのないように気をつけています。
振り返る時間を作って次に生かす
お菓子を食べた後などには、短くてもいいので、どんな気持ちになったのかを親子で一緒に振り返る時間を持つようにしましょう。「あんまりおいしくなかった」「おいしかったけど、すぐになくなっちゃった」など、子どもはさまざまな感想を聞かせてくれます。
「このお菓子、どんなところがお気に入りになったの? ならなかったの?」とこちらから質問することで、自分はどんなお菓子が好きなのか、子ども自身も気づきやすいようです。そうすることで、「おもちゃ付きのお菓子はもう買わない!」など、自分でより良いお金の使い方を考えられることも増えてきました。
自分の価値観に合ったお金の使い方を身に付けてもらえたら……と親としては願っていますが、まだまだ長い道のり。子どもへのマネー教育は背伸びせず、日常生活の中で少しだけ意識するくらいの気持ちでちょうどいいように感じています。
夏の最後の思い出に初めてのお買い物、ぜひチャレンジしてみませんか?
著者プロフィール
ラーゴムデザイン代表 長谷部敦子
ファイナンシャルプランナー、マスターライフオーガナイザー、メンタルオーガナイザー。父親の看取り介護、自身の結婚を通して、「心」と「お金」の整え方を知ることの必要性を感じ、学びを深める。2012年・2014年の出産を経て、2015年に「しなやかな生き方をデザインする」をコンセプトに起業。家計・起業・扶養などに関わるお金の悩みや、働きたい女性のメンタルについての相談・講師業を中心に活動。働く母の目線で、日々のくらしを快適にする仕組みづくりについての執筆も行っている。「生き方デザイン.com」