ワコムが7月31日に発表、8月4日に発売した「Bamboo Ink」は、ワコムAESテクノロジーと、Microsoft Penプロトコルの両方のペン入力方式に対応し、Windows搭載タブレットや2in1 PCなどで利用できるスタイラスペンです。
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ワコムの新スタイラスペン「Bamboo Ink」の使い勝手の点で特筆しておきたいのがソフト、ミディアム、ハードの3種類のペン先が同梱されていることです。同じペン先を使っていてもディスプレイや保護フィルムによって摩擦力が変わりますし、そもそも書き味は人によって好みが異なります。異なる書き味のペン先を標準で同梱しているのはありがたいですね。標準スタイラスの書き味に不満を感じているのなら、異なる硬さの替え芯の存在だけでBamboo Inkに乗り換える理由となります。
なおBamboo Inkに標準で装着されているペン先はソフトなので、購入した場合はソフト2本と、ミディアム、ハードそれぞれ1本で、合計4本の替え芯が手に入ることになります。替え芯は「Bamboo Ink(CS321AK)用ペン先キット (ACK42416)」というセットで購入可能ですが、使わない硬さの替え芯は余ってしまうので、バラ売りしてくれると嬉しいですね。
左がBamboo Inkの替え芯、右がSurfaceペンの替え芯。マイクロソフトのSurfaceペンには2H、H、HB、Bの4種類のペン先が用意されています。ワタシが書き比べたかぎりでは、Bamboo Inkの「ソフト」は、Surfaceペンの「HB」相当だと感じました |
Bamboo Inkのソフト、ミディアム、ハードのペン先で書き比べてみましたが、個人的には断然ソフトが好みです。書き味はハードが画面にプラスチックを当てたようなツルツル感、ソフトが軽い摩擦を持たせたサインペン感、ミディアムはその中間……といったところ。ボールペンやシャープペンなどのアナログな筆記用具と同じ感覚とまではいきませんが、ヌメリとした適度な摩擦感は細かな文字をたくさん書いていても疲れをほとんど感じません。
筆圧感知機能は最大4,096段階、傾き検知機能は非対応
筆圧感知機能は最大4,096段階に対応していますが、どのレベルに対応しているかは端末側のスペックによります。ワタシ個人は4,096段階もの筆圧を操る能力を持ち合わせていないので1,024段階もあれば十分ですが、繊細なタッチを表現したい方はまずBamboo Inkを購入する前に、セットで使用するタブレットや2in1 PCのスペックをご確認ください。なおワコムによれば、新型Surface Proでは4,096段階の筆圧感知機能を利用可能とのことです。
一方、傾き検知機能に対応していないのは個人的には非常に残念です。新型Surface Proと新型Surfaceペンが傾き検知機能を実装したことから、今後対応アプリがリリースされることが予想されます。Bamboo Inkの次期モデルではぜひ傾き検知機能をサポートしてほしいですね。
ドローアプリ「Zen Brush 2」は傾き検知機能に対応しているので、新型Surface Proと新型Surfaceペンの組み合わせでは、筆先の傾きなどを再現可能です。上の写真はBamboo Inkと「ThinkPad Yoga 260」の組み合わせ。筆圧検知機を活かしたイイ感じの「天と地」になっていますが、傾き検知機能は働いていません |
約2秒で画面の端から端までペン先を走らせた際の描画遅延を、ワコムAESテクノロジーモードはThinkPad Yoga 260、Microsoft PenプロトコルモードはSurface Pro 4で試してみましたが、両者に体感できるほどの差は感じませんでした。どちらも若干(計算上で約77ミリ秒・実測で約1cm)の描線の遅れが発生しています。なお、Bamboo Inkのレイテンシー(遅延速度)も筆圧感知同様にデバイスに依存するとのこと。今回試したデバイスはSurface Pro 4でしたが、新型Surface Proのレイテンシーはカタログ値で21ミリ秒なので、こちらで試すとまた違った結果になるかもしれません。いずれにしろ、イラスト制作も含めて一般的な用途であれば実用上問題ないでしょう。
最終回の次回は、ワコムAESテクノロジー、Microsoft Penプロトコルで使用した際の、ソフトウェア的な機能の違いについてレビューします。