キャンプに登山、秘境駅。それらの共通項といえば、ケータイのアンテナが立たないほどの山奥が多いということ。ピンポイント的に通じる場所もあるが、そもそも人が少ない場所のこと、広い範囲で安定して通信できるとは考えないほうがいい。『マップ』で現在位置を確認できれば、むしろ儲けものだ。
ただし、GPSによる現在位置の情報は、直接はデータ通信とは関係ない。人が通わぬ山奥でも、GPS衛星を捕捉できれば現在地は測定できる。携帯電話基地局やWi-Fiアクセスポイントと通信できれば精度は高まるが(A-GPS、携帯通信網などからの情報を補助的に使う)、ざっくりとした位置情報ならば圏外でも測定できるのだ。
地図も表示可能だ。iOSに標準装備の『マップ』は、つねに表示位置近辺の地図データをキャッシュしており、インターネットに接続できない状態でも地図を表示できる。キャッシュされていないエリアは表示できないため、しばらく利用していない状態では使いものにならないが、『マップ』をしばらく利用したあとに圏外になったという場合は、多少の誤差を含みつつも現在位置を表示できる。
位置情報に関しては『コンパス』も同様だ。圏外でA-GPSによる情報を当てにできないときには、現在位置の経度/緯度の精度が下がるものの、大まかな位置は割り出せる。データ通信できなくても、スクリーンショットなどで緯度/経度を残しておけばあとで地図を表示するとき役に立つ。
たとえば、北緯が「35°10'4"」で東経が「138°10'50"」という位置情報は、SafariのURLバーに「maps://maps.apple.com/?q=35.104,138.1050」と入力して「Go」ボタンをタップすると、その緯度/経度の地図を『マップ』に表示できる。たとえ大まかな情報でも、旅の記憶を呼び戻すにはじゅうぶんなはずだ。