※2011/03/01掲載記事の再掲です

信頼しあえているカップルというのは、ケンカもよくやってしまうものです。信頼があるからこそ本音が言える。本音がぶつかり合うとそこで意見の差異が明確になり、ケンカも発生する、という流れができてしまうからです。

次のようなケンカ、経験したことのある人もいるのではないでしょうか?

男性:「前はああ言っていたじゃないか」
女性:「私の気持ちも分ってよ、今は違うんだから」
男性:「もう決まっちゃったんだし変更できないよ」
女性:「もういい!」

さて、多くの場合は女性が「もういい!」と言ってから立ち去ります。電話の場合には通話を切ってしまったりします。もちろんメールの場合はやりとりを終えます。

このコラムを読んでいる男性はちょっと考えてみて下さい。次のうちどのような行動をとっているでしょうか?

(1)これ以上話し合っても無駄なので、会話をこれで打ち切りにする。
(2)いったん会話を終了させ、女性がクールダウするのを待って、再度会話したり説得したりする。
(3)その場ですぐに女性を追いかけたり、電話をかけたりして会話をつなげる。

さて、このうちどれが「女性から見た正解」なのでしょうか?
1つ1つを解説していきます。

会話を打ち切ることは……

(1)これ以上話し合っても無駄なので、会話をこれで打ち切りにする。

これは間違いです。

怒っている女性を相手にするのは男性にとっては至難の業。さらに怒らせてしまったり、もしくは男性自身も怒り始めてケンカがヒートアップしてしまう。そこでケンカのヒートアップを防ぐために会話を終了させてしまう。

場合によってはケンカした事実を無かったかのように次会うときに振る舞う。そうすることで二人の仲は良好ですよ、と暗に伝える。

対男性であればこのやり方は正解です。
というのも、男性はケンカが始まると「負けられない」という感情が発生し、ケンカがいつまでもヒートアップしてとり返しが付かなくなってしまうからです。

しかし、対女性相手にはこのやり方は1番ダメな方法、となってしまいます。なぜなら女性にとって「無視」は一番挑発的なケンカ方法だからです。
ケンカしている事情を取り上げず、会話も強制的に終わらせる。しかも会話の再開もない。女性からすると「無視されている」と感じるやり方です。
結果、女性はさらに怒りの心を強めていくことになります。下手をすると仲直りができない状況になってしまいますので、会話の打ち切りだけはやめておきましょう。

いった会話を終了。クールダウンしてから会話を始めるのイイ?

(2)いったん会話を終了させ、女性がクールダウするのを待って、再度会話したり説得したりする。

これも間違いです。

ケンカのヒートアップを防ぐために、いったん会話を終了させてクールダウンをはかる。会話を再開するのは二人が落ち着いてからというのも、対女性にとっては良いやり方ではありません。

男性にしてみたら「もういい!」と女性の方から会話を打ち切ったのだから、お互いにいったんクールダウンさせるべきだろう、と思うかもしれません。
しかし女性はこのとき、心の中で“仲直りのシナリオ”を作っています。
このシナリオですが、次のようなものとなっています。

1)私が「もういい!」と話を終わらせるくらい強く言ったから、どれくらい怒っているのか分ってくれるよね

2)これだけ怒っているのが分かったのなら、すぐに謝罪をしてくれるはず

3)それにいつもは私が自分の意見を引っ込めているのだから、今回は私を追いかけて謝罪してすぐに話を再開してくれるよね

というわけで、会話を終了させること自体がNGとなっています。女性が会話を打ち切ったときは女性にとって相当怒っているという意思表示なだけで、本当の意味での会話打ち切りではないのです。

その場ですぐにフォローする

(3)その場ですぐに女性を追いかけたり、電話をかけたりして会話をつなげる。

これが正解です。

なぜかというと、女性の仲直りのシナリオ通りのやり方だからです。このとき注意すべきことは「自分の意見をなるだけ言わない」ことと「理由を付けて謝る」ことです。

「自分の意見をなるべく言わない」ことを実行する理由は、もともとケンカになるくらいまで意見が食い違っているからです。自分の意見を再度言うとさらにケンカが広がってしまいます。ですので、とりあえずは女性の意見を聞いておきましょう。

ちなみに、聞くに徹するとそのうち女性の気持ちも収まっていきます。なぜなら女性は「私の気持ちを分ってくれていなかったから」という理由で怒ることが多いからです。

「理由を付けて謝る」ことについてもう少し詳しく見て行きます。
まず、最初に「怒らせてごめん」という風に「怒らせたこと」を部分的に謝ります。ここで「とにかくごめん」と言ってはいけません。理由無しに謝ってしまうと「私が怒っている理由も知らずに謝っているわけ」と火に油を注ぐことになってしまいますので。

そして女性の話を聞く中で「ここは理解していなかったよ、ごめんね」とか「そんな気持ちだったんだね、分ってあげられなくてごめん」というように小さい単位で謝っていくと女性の気持ちが落ち着きます。

女性からすると「私の気持ちを分ってもらえていない」という怒り方をしているため、「理由を付けて謝る」ことで、女性の怒りに対してどこまで分っているのかを示すことができるのです。

聞くことができれば落としどころも

男性にしてみたら怒っている女性をその場でフォローすることは大変なことかもしれません。しかし、女性が相手なのだから女性に効果的な方法で接するのが一番。つまり大変であってもその場でフォローした方が良いのです。

実際にその場でフォローをしていくと、女性の気持ちも落ち着いてきます。そして気持ちが落ち着いてくると意外に男性の意見が通りやすくなります。

なぜなら、女性は怒っている気持ちを男性に理解してもらえればそれだけでいったん気持ちが落ち着くからです。「私の気持ちを分かってくれていない」という意味で女性は怒っていることを理解することが大切なのです。

先に聞くことに徹することで、実は男性の意見が通りやすくなると思えば、その場でフォローも我慢できそうですよね。

女性に対して無視は一番きつい解決法。
ケンカをしたときにはとにかく男性は聞き手に回るようにしましょうね。

文●織田隼人

筆者プロフィール:織田隼人
心理コーディネーター。男女間の争いをなくし世の中を平和にしたいとの思いから、男女間の心理の違いを研究しその成果を広めている。ホームページ『知りたい!相手の気持ち』で男女心理の解説を行うほか、著書に『彼と復縁したい貴方へ』(あさ出版)、『恋のライバルがいるあなたへ』(MARBLE BOOKS)、『妻の相談に乗ってはいけない』(学研)など