厚生労働省は8月17日、子ども虐待による死亡事例等の検証結果や虐待相談対応件数について発表。全国の児童相談所が2016年度に対応した児童虐待件数は、過去最多の12万2,578件(速報値)となり、前年度より1万9,292件増えた。虐待死は、前年度比で13人増の84人だった。
同省は、相談対応件数が増えた背景として、「心理的虐待」に関する対応件数の増加を指摘。児童が同居する家庭において、配偶者に対する暴力がある事案(面前DV)について、警察からの通告が増加していて、割合としても全件数の51.5%を占めた。相談経路は、警察等、近隣知人、家族、学校等からの通告が多くなっている。
また、2015年度の虐待死について、心中以外の虐待死事例は48例52人(前年度比8人増)、心中による虐待死事例は24例32人(前年度比5人増)と発表。心中以外の事例では、0歳が最も多く、うち月齢0カ月が高い割合を占めていた。また例年以上に「予期しない妊娠/計画していない妊娠」「妊婦健診未受診」の割合が高く、身体的虐待が最も多くなった。
同省が検証した死亡事例の具体的な内容としては、「DVを行う継父による暴力によって、長女が死亡した事例」「特定妊婦であった実母及びその内縁の夫が、次女に対し十分な栄養を与えず、顔面に熱傷を負わせ死亡させた事例」「飛び込み出産をした実母及び実父が、長男を放置し死亡させた事例」「実母が措置解除後の次男の頭を殴打したことで死亡させた事例」などが挙がっている。