いまや見積書や納品書、請求書はデータ納品が当たり前の時代。捺印さえ電子で済ませてしまえることから、紙に印刷する手間がかからないのはもちろん、郵送のコストまで削減できるのは、筆者のようなフリーランスにはありがたい限りだ。ちなみに筆者が継続して取引のあるクライアント十数社のうち、印刷した請求書の郵送が今なお必須なのは、現時点でわずか2社のみ。様子見の企業が多かった数年前に比べると、データ納品への移行は着実に進みつつあるようだ。
これら請求書などの帳票を作成するツールとして、最近はクラウドサービスが利用される機会が増えている。入金処理との紐付けまで行える大規模な会計サービスもあれば、帳票のPDF出力のみに特化したシンプルイズベストなサービスまで多種多様だ。多くのサービスは機能をフルに使うには有償契約が必要となるが、毎月の発行枚数が数枚以下と少ないうちは、機能の見極めも含め、なるべくローコストで利用したいという人が多いのではないだろうか。
今回は請求書の作成に的を絞り、保存件数など一部機能に制限があっても、期間限定ではない無料プランが用意されていることを条件に、オンラインで請求書を作成可能な5つのサービスを紹介する。
領収書作成にも対応、豊富な機能が特徴「Crew請求書」
請求書のほか見積書、納品書、領収書の作成と管理が行えるサービス。保存期限や枚数の制限はなく、取引先登録や品目マスターも利用できる。過去に作成した帳票からのコピーやメールによる送信、別帳票への変換、帳票のタグ管理もサポート。テンプレートは3種類×4色の計12パターン。ロゴ画像と社印のアップロードに対応する。見積書や請求書の受取機能、売上や仕入のレポート作成、有料での郵送代行にも対応するなど機能は豊富。源泉税の計算もサポートする。有料版は同社会計ソフトとの連動が可能。
請求書・見積書の作成と管理ができる「RaQool」
請求書と見積書の作成・管理に特化したサービス。保存期限や枚数の制限はないが、無料のフリープランは登録できる取引先が最大5件という制限がある。品目マスターの登録機能はないがよく使う請求・見積のパターンを保存できるため過去の帳票をもとにした再作成は容易。テンプレートは縦横1種類のみで、社印のアップロードは対応するがロゴ画像は非対応。メール送信のほか未送信・未入金・入金済などのステータス管理、有料での郵送代行にも対応。支払期限の入力が必須なのがやや難。
入力項目が自動登録、過去帳票からのコピーも可能「みつもらー」
見積書の作成をメインとしたサービスで、請求書の発行にも対応している。無料プランでは見積書の保存件数が最大10件、かつメール送信に非対応という制限あり。最初に項目と金額を入力し、その後にプロジェクト名やクライアントを入力するという独特のフローを採用している。一旦入力した項目は自動登録されるほか過去に作成した帳票からのコピーにも対応。見積や請求済などステータス管理、売上管理も行える。テンプレートは1種類のみ。ロゴ画像のアップロードには対応するが、印鑑画像は有料プランのみの機能となる。
保存期限・枚数制限なしで使える「Golazo」
請求書と見積書の作成に特化したサービス。完全無料で利用でき、保存期限や枚数の制限は一切ない。取引先情報は登録できるが品目マスター機能はない。過去に作成した帳票からのコピーやメールによる配信、送付済み・領収済みなどのステータス管理、領収書の出力もサポートする。テンプレートは1種類のみ、社印のアップロードに対応するがロゴ画像は非対応。有料での郵送代行機能は用意されない。源泉税の計算もサポートする。支払期限や請求書番号、発行日など入力必須の項目が多いのがやや難。
PDF出力に特化、印影を自動生成できる「PDFeer」
請求書のほか見積書、納品書、領収書などのPDF出力に特化したサービス。完全無料で利用でき、保存期限や枚数の制限は一切ない。過去に作成した帳票をコピーして作成することは可能だが、取引先情報や品目マスターの登録機能がないため、一旦作成した帳票を修正しながら毎月繰り返し発行する使い方に向く。テンプレートはフォントの種類が異なる3パターンのみ。ロゴ画像のアップロードに対応するが社印は非対応。姓を入力することで担当者印を自動生成する機能を備える。合計金額などの計算がすべて手動なのがやや難。