パナソニックは8月4日、パナソニックセンター東京(江東区有明)にて「KWNグローバルサミット2017」を開催。世界18の国と地域から集まったキッズジャーナリストたちが、グループ討論を経てまとめた「未来社会への提言」を発表していった。

KWNグローバルサミット2017の一コマ

子どもたちの提言を受け止める

「KWN(キッド・ウィットネス・ニュース)」は、パナソニックが展開する、小学生・中学生・高校生の子どもたちを対象にビデオ制作を支援するグローバルな教育プログラム。今回のKWNグローバルサミット2017には、世界18の国と地域の子どもたちが参加。「人と人とが助け合い多様性を認め合う社会」「自分が自分らしくいられる社会」「格差のない社会」「世の中の人が幸せになる技術を生む社会」などのアイディアが発表された。

KWNは子どもたちの創造性、チームワーク、世界的な認識の育成を目的にした取り組み。KWNプログラムとしてグローバルサミットを開催するのは今回が初の試みとなる

開催に先立ち、主催者を代表してパナソニック 執行役員 竹安聡氏が登壇。「パナソニックの企業活動は、ブランドのスローガン『A Better Life, A Better World』に表現されている。次世代の意見はイノベーションを起こし、このA Better Life, A Better Worldを実現するもの。パナソニックでは子どもたちの視点から集められた、より良い社会をつくるための提言をしっかりと受け止めたい」と挨拶した。

パナソニック 執行役員の竹安聡氏

子どもたちによる「未来社会への提言」

プライマリー部門(8才から12才)には、10カ国から19名が参加。東南アジアの子どもからは「私が住んでいる地域には、学校も病院もない。家もない人もいる」「未来には煙で汚れていない綺麗な空気と、水に満ちた国になっていて欲しい」といった切実な声があがる。また、離島に住む子どもは「自分たちの民族の伝統文化を保存することが、自分たちのアイデンティティを知るために必要」と発表した。「東京は自己表現ができて、お互いに個性を出し合える、そんな場所。それが未来の国にも必要」という意見もあった。

プライマリー部門(8才から12才)には10カ国から19名が参加

セカンダリー部門(13才~18才)には、16カ国から33名が参加。食と衛生についてまとめたドイツ・タイ・タンザニアのグループでは「環境問題」について、消費者、政府、企業の立場から何をすべきかを提言。チェコ・パナマ・日本・マレーシアのグループは「スポーツを通じて人との絆をつくる」提案を行った。

ミックスカルチャーをテーマにしたアメリカ・ブラジル・UAEのグループでは、様々な人が行き交う渋谷のスクランブル交差点で「人種の多様性」について思いをめぐらせ、多様な文化を認める社会が少数派の人々を助けていくべきといった提言を行った。アメリカ・インドネシア・オーストリアのグループは、いま世界で求められているのは他者に対する寛容性であり、そのために教育が欠かせないと発表した。

セカンダリー部門(13才~18才)には16カ国から33名が参加した

東京2020組織委員会 副事務総長の古宮正章氏は「皆さんの見解の具体性に驚かされた。大人が気付いていないことにも目を向けていた。私も未来にとって、教育が重要だと感じている」と総評。国際パラリンピック委員会(IPC)理事のDuane Kale氏は「私も寛容性を育むことの大切さを感じている。スポーツはその手段のひとつになり得る」とコメントした。

東京2020組織委員会 副事務総長の古宮正章氏(左)と、国際パラリンピック委員会(IPC)理事のDuane Kale氏(右)

際連合広報センター所長 根本かおる氏は「2014年に17歳でノーベル平和賞を受賞したマララ・ユスフザイさんは、特別な家庭に生まれたわけではなく、彼女の母親は読み書きができない。でも父親の方針で、彼女は学校で学ぶようになった。本日集まった皆さんは、マララさんのようにチェンジメーカー(変革を起こす人)になり得る。これからも勉強を続け、他者との対話を続けていって欲しい」と総評するとともに、成功裏に幕を閉じたKWNグローバルサミット2017について「国連、あるいはオリンピック・パラリンピックの縮小版とも言えるサミットになった。素晴らしい集いを実現してくださったパナソニックさんに感謝している」と振り返った。

国際連合広報センター所長 根本かおる氏

映像コンテストのグランプリが決定

会場では、続いて「KWNグローバルコンテスト2017」の表彰式が行われた。ノミネートされた26作品は、すでに7月12日に公表済みで、この中からグランプリと各賞が決定した。

プライマリー部門では、中国のBeijing Haidian Wanquan Primary Schoolが「Best K-factor Award」に、マレーシアのLong Sepiling Primary Schoolが「Best Storytelling Award」に、タイのAssumption Samutprakarn Schoolが「True Sportsmanship Award」に選ばれた。この中で、中国のBeijing Haidian Wanquan Primary Schoolが制作した「One day of Beijing Kids」という作品が、プライマリー部門のグランプリに輝いた。

マレーシアのLong Sepiling Primary Schoolが「Best Storytelling Award」に(左)、タイのAssumption Samutprakarn Schoolが「True Sportsmanship Award」に選ばれた(右)

One day of Beijing Kidsは、北京で暮らす少女の日常生活を描いた映像作品。子どもらしくおとぎの国を夢想しつつも、現実の世界では遊びたい気持ちを抑えて学校に通い、夜遅くまで塾で勉強する、そんな様子を描いている。

北京で暮らす少女の日常生活を描いた映像作品、One day of Beijing Kidsがプライマリー部門のグランプリに輝いた

セカンダリー部門では、ドイツのWirsberg-Gymnasium Secondary Schoolが「Best Editing Awardに」、タイのMontfort Collegeが「Creative Media Award」に、UAEのElite Private Schoolが「Global Citizens Award」に、日本のFukushima Prefectural Iwaki Senior High Schoolが「Best Consept Award」に選ばれた。この中で、日本のFukushima Prefectural Iwaki Senior High Schoolが制作した「Open」という作品がセカンダリー部門のグランプリに輝いた。

(左から)ドイツのWirsberg-Gymnasium Secondary School、タイのMontfort College、UAEのElite Private School

Openは、高校を舞台にした映像作品。男子生徒の優しさによって"いじめ"から救われた女子生徒が、男子生徒の落とし物を届ける様子を通じて「ひとつのドアが閉じられたとき、別のドアが開く」というメッセージを表現した。

高校を舞台にした映像作品、Openがセカンダリー部門のグランプリに輝いた

KWNグローバル事務局で映像作品の審査を担当した、パナソニック ブランドコミュニケーション本部の相川貴之氏は「KWNグローバルコンテストは次世代のクリエイターを発見し、育成するチャンスでもある。グローバルで341もの作品が寄せられ、2次審査で26作品まで絞った。優れた作品が多く、選考に苦労した。テーマは、子どもたちの日常生活に密接に結びついた課題についてだった。映像作品を通じて皆さまの世界を垣間見ることができ、大きな感銘を受けた。パナソニックでは、皆さまから寄せられた『より良い未来をつくるための提言』を深く受け止める。一緒に、未来をつくっていきましょう」と語り、表彰式を締めくくった。

パナソニック ブランドコミュニケーション本部 宣伝部・スポンサーシップグループ コーポレート宣伝室 室長の相川貴之氏