賃貸物件を契約する前には、必ず行われる入居審査。入居審査に通らないと契約はできない訳ですが、その審査に落ちてしまう場合とは、どんな原因が考えられるのでしょうか?そこで今回は、入居審査のチェックポイントや審査に落ちる理由について、不動産コンサルタントとして活躍されている、不動産サポートオフィスの秋津智幸さんにお話を伺いました。


ーー大家さんや不動産会社は、入居希望者のどんなところをチェックしているのでしょうか?

「年収、勤務先、収入と家賃のバランス、そして連帯保証人です。まず年収と勤務先が安定していることを重視します。自営業よりサラリーマン、契約社員よりは正社員と、より安定しているほうがよいとされます。次に、家賃と収入のバランスです。会社によって基準は違いますが、だいたい給料の手取り額の1/3程度なら問題ありません。そして連帯保証人が親、兄弟、祖父母までの親族かどうか、その連帯保証人の年収や勤務先をチェックします」

ーー入居審査で落ちる理由は? 落ちないためにできることはありますか?

「入居審査で落ちるのは家賃と収入のバランスが悪い、連帯保証人が親族でないなど、さまざまな理由が考えられます。まず審査に落ちる原因として、収入に対して家賃が高いことがあげられます。また、連帯保証人が親族ではない場合、または親族だったとしても高齢だったり、安定した年収が見込めなかったりする場合が考えられます。親族に連帯保証人をお願いする際、できれば親族の中でも年収がより高い人にお願いするとよいでしょう。

その他、入居希望者が無職の場合でも連帯保証人がしっかりしていれば、ある程度以上の貯金がある上で家賃保証会社を利用することで契約できる場合があります。また、生活保護の場合は生活扶助と住宅扶助が分かれており、自治体によって金額が保証されているので、大家さんから見るとむしろ安心して契約ができるはずです。転職直後や入社1年目など、年収の実績がない場合には、予定年収の証明書を出してもらって、不動産会社に提出するとよいでしょう」

ーー近年、入居契約時に利用されることも増えてきた家賃保証会社についても伺いました。

「入居希望者の連帯保証人の代わりに、大家さんに家賃を保証してくれるのが家賃保証会社です。連帯保証人の有無にかかわらず、契約時に不動産会社を通じて申し込むことが条件とされる物件もあります。入居希望者にとってのメリットは、嫌がられがちな連帯保証人を身内にお願いしなくてすむこと。デメリットとしては、入居時の契約で家賃保証会社に払うお金がかかることと、賃貸契約の更新とは別に、家賃保証会社との契約の更新があり、その都度、更新料がかかるということです。

また信販系保証会社の場合では、クレジットカードの支払いの延滞履歴があると、審査に落ちてしまう可能性があります。それぞれの家賃保証会社によって審査基準が異なるので、不動産会社が複数の家賃保証会社と契約していれば、A社では不可でもB社では可ということもあるでしょう。複数の家賃保証会社とのネットワークがある不動産会社で契約するのも、ひとつの手といえます」

秋津さんいわく、今は賃貸物件が飽和状態なので、審査に落ちる可能性は低くなっているとのこと。とはいえ収入と家賃のバランスに注意して、物件選びをするのが大切ですね。

《取材協力》
秋津 智幸
不動産に関する各種コンサルティング業務を行う「不動産サポートオフィス」代表。物件の賃貸から売買まで、自宅から店舗や事務所までといった幅広い相談を受けるほか、セミナー講師(不動産投資セミナー、自宅購入向けセミナー等)としても活動中。著書に『賃貸生活A to Z』(アスペクト)などがある。
http://2103-support.jp/

 

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