ソフトバンクは7日、NTTドコモやKDDIが新たに導入したMVNO対策と見られる新料金プランの導入を現時点では行わない考えを明らかにした。
NTTドコモは今年5月に特定端末の購入で永続的に割引が適用される「docomo with」を発表した。KDDIも割引の組み合わせ次第で、MVNO並みの格安な料金を実現する「auピタットプラン」「auフラットプラン」を7月に発表している。
いずれも、MVNO対策となる料金プランで、両社ともにユーザーから好評価を得ているとし、ドコモは「docomo with」の対象機種を増やす意向を表明している。KDDIも新プランの受付開始から半月で45万契約を獲得し、計画通り順調に推移。しかし、ナンバーポータビリティの利用者が2倍に増えたとし、ポジティブな評価を下している。
大手2社が動いたことで、ソフトバンクの動向に注目が集まっていたが、ソフトバンクの宮内謙代表は対抗策の導入について「現在はまったく考えていない」とする。
その理由について「ワイモバイルは順調。ソフトバンクブランドのモバイルもデビュー割などでスマホの数値(純増数)も伸びえている。ここ1カ月ほど様子を見ていたが、まったく影響がない」とコメントした。
ソフトバンクグループの孫正義代表も「分離プランが特段大きな値下げという実態になっていない。ユーザーが(他社へ)多く流れ込んでいる認識はない」とする。
2018年第1四半期決算説明会では、ソフトバンクグループの国内通信の営業利益は、2,185億円で前年同期比9%減となったが、顧客還元策など先行投資をしたためと説明。対して、スマホ純増数は45万件で同61%増となり、顧客つなぎとめ策ともなる固定通信のSoftBank光も同79%増となったとしている。さらに、解約率も0.79%となり、auを下回ったなど、好調さをアピールする。
対MVNOを考慮した場合、ドコモはサブブランドを持たず、今後もその意向はない。KDDIも傘下のUQ mobileなどが奮戦するが、MVNO対策は遅れ気味だった。市場環境の急速な変化により、両社は対策を講じる必要が生じた。それが新料金プランを打ち出した背景となっている。ソフトバンクはワイモバイルを受け皿として市場の変化に対応できたといえるだろう。
ドコモとKDDIの新料金プランの効果をはかるには、まだ時期尚早な面もあるが、今のところ、現状維持を標榜するソフトバンクがいちばん市場とうまく対話できていると言えるのではないだろうか。