『借りぐらしのアリエッティ』や『思い出のマーニー』で知られる米林宏昌監督の最新作『メアリと魔女の花』。同作の公開を記念し、東京・表参道に作品の世界観を再現した「メアリと魔女の花 ガーデンサンドカフェ」が期間限定(8月4日~9月2日)でオープンする。ひと足先にお店に行ってみると、そこはまるで"魔女の国"だった。
同作は、米林監督がスタジオジブリ退社後に手掛けた第1作目の長編作品。ストーリーは、明朗快活で天真爛漫ながら、不器用で失敗ばかりの主人公メアリが、禁断の魔女の花「夜間飛行」との出会いをきっかけに巻き込まれる大冒険。同監督が得意とする精密で美しい背景美術や大迫力のアニメーションがふんだんに詰め込まれており、これまでの作品同様、子どもも大人も魅了される作品に仕上がっている。
外観を見ただけでテンションUP
取材前日、映画館で作品を観たばかりとあって、やや興奮気味にお店に向かうと、もう外観を見ただけでテンションがアップ。その理由は、作中に登場する「エンドア大学」の"マダム噴水"を見つけたから。
作中同様、見上げるほど大きなサイズで迫力満点だ。あと、見落としてはいけないのが2階の窓一面に配された大パノラマのイラスト。ほうきにのったメアリと空の上の世界が美しく描かれている。
さらに店内に入ると、森をイメージした巨大なディスプレイが出現。木やコケなどディテールまで実に精巧につくりこまれている。しかも、木のふもとに「夜間飛行」と「ほうきくん」を発見! 作品を観た人なら誰もが興奮すること間違いなし。
店内にはファンに嬉しい演出が満載
カフェ全体は、メアリが引っ越してきた赤い館の庭と森をイメージ。作中では木々や花々といった豊かな自然が生き生きと描かれているとあって、店内にもボタニカルがそこかしこに配されている。
また、赤いレンガの壁には、作品に登場する植物や森、建物といった手描きのイラストが展示されており、どれも思わずため息が出るクオリティ。眺めているとついつい時間が経つのを忘れてしまう……。
天井から吊るされている植物の中から、ちょこっと顔を出す「ティブ」や「ギブ」といった作中に登場する猫たち、各テーブルに置かれた「夜間飛行」(蓄光になっており、夜は光るらしい!)。これら粋な演出も店内に散りばめられているので、お店に行ったら色んなところに目を配らせてほしい。
作品の世界観が詰まったメニュー
……おっと、つい店内の演出に夢中になってしまい、カフェなのに食事の注文を忘れていた。店内では、作中に登場する料理をはじめ、作品の世界観をイメージしたバラエティ豊かなメニューがそろう。まずはフードメニューをみていこう。
作中でメアリが食べていたサンドイッチをイメージした「ガーデンサンド」(1,340円)。チキン&タマゴとツナ&タマゴの2種類があり、ドレッシングはオレンジとフレンチを選べる。具材がたっぷり入ったサンドイッチはボリュームがあって食べごたえ満点。また、ふんだんに盛られた野菜の中には、食べられる花「エディブルフラワー」も入っており、見た目もとっても華やかだ。
この「まんぷくプレート」(1,440円)も、作中でメアリが食べていた"ごちそう"をイメージしたメニューとなっている。白身魚のフライ、マッシュポテトと豆、野菜のトマト煮、自家製オムレツ、クリームチーズサンドと盛りだくさんの一品。前述のサンドイッチ同様、揚げたパスタでつくった「ほうきくん」がトッピングされているのも、ファンにとっては嬉しいところだ。
他にも「サーモンといくらのクリームパスタ」(1,340円)、サイドメニューの「モッツアレラのベーコン焼き」(780円)のフードが注文できる。いずれも野菜をふんだんに使用したヘルシーなメニューとなっている。
続いては、デザート2品を紹介。「ふわふわパンケーキ」(1,480円)は、木イチゴのジャムとたっぷりのクリームがのった、ふわふわとした食感が魅力のパンケーキだ。「ティブ」と「ギブ」のクッキーがトッピングされているのも可愛らしい。
これまた愛らしい見た目の「にぎやかプリンパフェ」(840円)も、思わず写真に撮りたくなるデザート。アイス、プリン、ゼリーが入っており、上から食べ進むにつれて違った味と食感が楽しめる。
最後は、2種のドリンクメニュー。中でもファンならぜひ注文したいのが「スーベニアシルエットミルクティ」(1,480円)だ。メアリとティブ&夜間飛行の絵が描かれたミルクティーなのだが、注文するとこのカフェ限定グラスが持ち帰れる(※未使用品をもらえる)。
もうひとつのドリンクが「魔法のレインボーティーソーダ」690円。なんとこのドリンク、その名の通り注文すると2つの魔法を使えるようになるのだ。グラスに入ったソーダ水にブルーの液体(青いハーブティー)を注ぐと、ソーダがまるで夕焼けのような美しい色に変化! さらに、特製の綿菓子をグラスにのせて液体を注ぐと、今度はグラスの中に光り輝く虹が出現! 同作のファンタジーな世界観を楽しめる一品となっている。
メニューを考案したシェフにお話を伺ったところ、「英国をモチーフにした作品の雰囲気と、主人公・メアリの可愛らしさをメニューで表現しました」とのこと。ちなみに再現に一番苦労したのが「ほうきくん」で、スタッフが揚げたパスタを一本一本束ねて手づくりしているという。どれも手の込んだメニューばかりで、味も見た目も秀逸。食べれば、ファンタジーな作品の世界観に浸ることができる。
ここでしか買えない限定グッズも充実
料理を食べ終わったら、店内の物販コーナーへ。全国で販売されている作品グッズはもちろん、ここでしか買えないカフェ限定グッズがそろうのも魅力だ。
カフェのロゴマークがプリントされた「Tシャツ」、「ランチトート」、「マグカップ」のほか、噴水マダムの「ゆびにんぎょう」、メニューでも食べられるティブ&ギブの「クッキー」、作中にも登場する「瓶入りジャム」など全10種が登場。
米林監督の生イラストに感激
取材日には、なんと米林監督が来場! 目の前で、店内に飾る作品の絵を描く様子が見られた。監督はメアリとピーターを描き始めたのだが、流れるようなペンさばきでスラスラと絵を仕上げていく。
即興で描いたとは思えないクオリティに、来場者全員が圧倒されていた。ス、スゴすぎる……。続いて作画監督補の山下明彦さんも来場し、同じく登場キャラクターの科学者「ドクター・デイ」を描いた。両名が描いた絵は店内に飾られているので、来店したらぜひチェックしてほしい。
また幸運にも米林監督にお話を伺うことができた。カフェに来店した感想を聞いてみると、「お店の雰囲気も料理も、自分たちがつくった作品の世界観がすごく忠実に再現されていて……なんか不思議な気持ち(笑)。とても嬉しいです」と話していた。
さらに「店内にはいろいろな作品の絵が展示されていますが、これを見ながら食事をできるのは楽しいですね。ちなみに、この絵(店内奥の窓一面に配された庭のイラスト)は実際に英国で見た庭園を再現したもので、あとこの絵は……」と、監督自ら展示について細かく解説してくださり、作品ファンの筆者としては感激。
来店した人には「フォトジェニックなスポットがたくさんありますので、いっぱい写真を撮って、おいしい料理を食べて、作品の世界に入り込んでほしいです」と語っていた。監督もご満悦のカフェに来れば、誰もがメアリと同じように"魔女の国"に迷い込んだ気分で楽しめることだろう。
「メアリと魔女の花 ガーデンサンドカフェ」の所在地は、東京都渋谷区神宮前5-3-8。期間は8月4日~9月2日、営業時間は11~21時(20時ラストオーダー)、日曜日と9月1日、最終日のみ~18時30分(17時30分ラストオーダー)となっている。定休日は施設に準ずる。
(C)2017「メアリと魔女の花」製作委員会
※価格はすべて税別