りんごダイエットといえば、昔からあるダイエット方法として広く知られている。一日のうちで1~2食をりんごに置き換えて他の食事は普段通り食べたり、「プチ断食」をしてりんご以外の食事を控えるようにしたりと、その方法はいくらかパターンがあるようだ。
このように「ダイエット時のお供」として一定の認知度を持つりんごだが、近年はその栄養価にも注目が集まっているようだ。海外のさまざまなニュースを伝える「MailOnline」にこのほど、「りんごが持つパワー」に関するコラムが掲載された。本稿ではその内容を紹介する。
「一日1個のりんごで医者いらず」という格言は本当かもしれない。りんごを丸ごと食べると食欲が抑制され、満腹感が持続するのがダイエットに効果的と考えられている。だが、りんごはダイエットに役立つだけではなく、私たちの健康にも寄与していることが示唆されている。
「りんごを定期的に食べる大人と子供の両方で、より低いBMIを有する可能性が高いことが研究によって示されています。当初は、りんごの低エネルギー密度がダイエットに役立つのだろうと研究者は考えていました。ただ、最近行われた動物研究によると、りんごに含まれている食物繊維(ペクチン)とポリフェノールが体重と食欲のコントロールに重要な役割を果たしている可能性が示唆されています」と健康&ライフスタイル専門家のジョアナ・マックミラン博士は語る。
オーストラリアのHorticulture Innovationの委託を受けたこの研究によって、定期的にりんごを食べれば、より健康な腸内細菌につながることも明らかになった。りんごを食べると腸内細菌(もしくは細菌叢)によい変化が起きるようになる。この変化が健康面に具体的にどのような影響を及ぼすかは不明だが、健康維持と病気予防には腸内ミクロビオーム(微生物叢)が重要な役割を果たすこと自体はわかっているという。
そのほかにも、定期的なりんご摂取が健康によいことを示すエビデンスが複数ある。りんごとその栄養成分は、総コレステロールとLDLの低下を助けるほか、りんごを多く食べると脳卒中や高血圧、多くの心疾患リスク要因を減らせるとする研究もあるという。以下にりんごのメリットとして考えられているものをまとめた。
■りんごは抗酸化物質の源である
■オーストリアで人気のある果物の中で、りんごには最大の抗酸化物質が含まれている
■りんごは「かご半分のブルーベリー」「1カップのいちご」「紅茶2杯」「オレンジ3個」「1カップのぶどう」「バナナ8本」よりも多くの抗酸化物質が含まれている
■りんごにはビタミンBとCを摂取できる低GI食品である
■りんごには脂質やコレステロール、塩分が含まれていない
■りんごは大半の朝食用シリアルよりも多くの食物繊維が含まれている
この研究に基づき、マックミラン博士は、オーストラリア人は定期的にりんごや他の果物を食べるべきだと主張している。その際、多くの抗酸化物質や繊維、ポリフェノールはりんごの皮か皮に近い部分に含まれていることから、皮を含めて丸ごと食べることが重要になるとしている。
※写真と本文は関係ありません
記事監修: 杉田米行(すぎたよねゆき)
米国ウィスコンシン大学マディソン校大学院歴史学研究科修了(Ph.D.)。現在は大阪大学大学院言語文化研究科教授として教鞭を執る。専門分野は国際関係と日米医療保険制度。