「オトク物件」と聞いて、何を想像しますか? おそらく、広さや設備、立地に対して家賃が割安な物件と答える人が多いでしょう。そう、一般的な「オトク物件」とは、既存の不動産の相場から逸脱した物件のこと。でも、もう少し見方を変えてみると、意外な「オトク物件」に出会えるものなんです。今回、そのヒントを紹介します。
バルコニーやロフトは賃貸面積に含まれない
東京R不動産でも、特に人気のオトク物件と言えば、何と言っても「バルコニーが広い物件」でしょう。部屋以外に自由に使える空間があるというのは、まさにオトクですが、バルコニーがオトクたるゆえんは、それだけではないんです。
と言うのも、実はバルコニーの面積は、物件情報に記載されている専有面積(部屋の面積)には含まれません。それゆえ、そのプラス部分が家賃に反映されていないことが多いのです。他にも、天井が高い物件、広い庭やロフトがある物件、廊下などの共用部分が充実した物件なども同じです。
そもそも日本の不動産の値付けは、専有面積に相場から導き出された単価をかけて算出するのが基本。いくら気持ちのいいバルコニーがあろうが、天井が高かろうが、広い庭やロフトがあろうが、それらを売りにはしづらいシステムになっているというわけです。
心地よい空間が得られるのに、家賃には跳ね返りづらい。借りる側からすれば、ふたつの意味でオトクな状況が生まれているのです。
公園や川、お墓の近くに坂の上!?
その他、オトク物件探しにおいて外せないポイントとしてあげられるものに、周辺環境があります。一番分かりやすいのは、目の前に公園や川などがある物件。緑が豊かで抜けがあって、単純に気持ちがいいのはもちろん、高い建物が建つ可能性は極めて低いので、心地よい周辺環境が壊れにくいというのも大きなメリットです。
さらにこの視点を一歩進めて、一般的には敬遠されることが多いお墓の脇、坂の上など傾斜地も実はオススメなんです。何となく気味が悪いとか、上るのがキツイといったデメリットさえ許容できれば、抜けや眺望といった、素晴らしい環境を手に入れることができます。
マニアックなところでは、6車線ぐらいの幹線道路を背にした4階以上の物件。大きな通り沿いには、防火や防音対策として高いマンションが建てられています。でも、一本裏に入ってみると、そこは低層の住宅街であることが多いので、必然的に抜けのある眺めが期待できるというわけ。
出会いたければギャップを探せ!
このようにオトク物件と出会いたければ、水や緑との境目、土地や建物の高低差の境目など、 "ギャップ"を探すのがコツ。これは周辺環境だけの話ではなくて、今ブームになっているリノベーション(リノベ)物件だって同じです。
リノベ物件は建物が古くて、内装が新しい、まさに外と中に"ギャップ"がありますよね。そう、中はキレイなのに新築よりも家賃は手頃、築年の古さが許せるのであれば、かなりのオトク物件と言えるでしょう。
余談になりますが、最近面白いなと感じているのは、区境のギャップです。例えば、人気の谷根千(谷中・根津・千駄木)まで歩いていける荒川区西日暮里は、周辺に比べてなぜか家賃が安い。谷根千エリアは文京区と台東区にまたがっていて、探している人はその2区に絞って検索をするので、荒川区がノーマークになるのでしょう。こうした"区境ギャップ"は、他のエリアにもまだまだある気がします。
オトク物件=+α感がある物件
ここまで紹介してきた通り、東京R不動産の考える「オトク物件」とは、一言で言えば「+α感がある物件」です。
「東京R不動産が教える、「最高」の物件の探し方」でも、「何か条件を良くしたければ何かを譲らなければいけない」と書きましたが、オトク物件の場合は、この"バーター取り引き"には当てはまりません。面積も設備も駅からの距離も希望の範囲で、プラスアルファで広いバルコニーや庭がある物件が見つかることだって十分ありえるのですから。
ちなみにですが、東京R不動産には、「屋上/バルコニー」や「天井が高い」「オーナー」「墓」など、キーワードを検索して物件を探す機能もあります。どんなプラスアルファがあるんだろうという視点で眺めれば、きっと面白い物件が見つかるはず。ちなみに、東京R不動産では月に100軒ぐらいの新規物件を掲載していますが、当然のことながらオトク物件はかなり人気。サイトから消えるのも早いので、こまめにチェックしてくださいね。
※写真はイメージで本文とは関係ありません
東京R不動産
東京R不動産は、新しい視点で不動産を発見し、紹介していくサイトです。
人はそれぞれに、違ったこだわりや好みを持っていると思います。
一風変わった物件も、人によっては、それが宝物のような空間かもしれないのです。
私たちは日々、そんな物件を膨大な不動産市場の中から丹念に探し出して、サイト上で皆さんにご紹介していきます。
普通の不動産紹介では拾いきれないような、物件の隠れた魅力を掘りおこします。
このサイトは不動産のセレクトショップであり、同時にまったく新しいタイプの不動産メディアなのです。
聞き手・ライター: 井上健太郎
1976年東京生まれ。大学卒業後、単行本のプロデュース・編集を手がけるオフィス「ブルー・オレンジ・スタジアム」を経てフリーランスに。2012年、ステキ面白コンテンツカンパニー「リライトw(ダブリュー)」を共同で設立、役職はCEO(Chief Editorial Officer)。現在、書籍、雑誌、ウェブ、広告、フリーマガジンなど、ジャンルを問わず日々編集&執筆中。これまで関わった書籍は、100冊以上150冊未満。