LCCのバニラ・エアは7月31日、6月27日に国土交通省航空局より「旅客の的確な誘導について(勧告)」を受けたことに対し、「再発防止策の実施体制の整備及びその履行」と「輸送の責任主体としての意識の再徹底」について改善措置を提出した。業務改善勧告を重く受け止め、役員に対して処分を実施する。
同件は6月18日、JW304便(香港発成田行き、乗客168人、幼児旅客1人)の成田空港到着時のランプバスによる到着口への案内時に、全3台のうち1台が誤って国内線到着ロビーに乗客を案内する事象が発生。これにより、10人の乗客が入国手続き未了のまま入国することとなった。
「再発防止策の実施体制の整備及びその履行」として、バニラエアと東京空港交通、成田国際空港において再発防止策の周知徹底を実施。三社は自社または委託先会社における新規入社社員への教育体制を構築するともとに、関係全社員への定期的な教育を行い再発防止策の定着を図る。また、三社は新たに必要な防止手順を明文化し、「共通手順書」を設定。各社での定期的な業務点検に加え、三社合同会議、合同巡視による横断的な点検を行い、履行状況を踏まえた改善対応を継続的に実施するとしている。
「輸送の責任主体としての意識の再徹底」として、バニラエアの全役職員を対象に輸送の責任主体であることを再徹底するための社員意識教育を実施する。また、三社間にて国際線到着旅客輸送業務の運用に関する「覚書」を締結し、相互に点検・報告・協議を実施する管理体制を構築。旅客取扱業務の委託先に対する業務監査において、「旅客誘導に関わるチェック項目」を新設する。
社内処分に関しては、石井知祥取締役会長は減俸30%、田中龍郎取締役副会長は減俸10%、五島勝也代表取締役社長は減俸30%、山室美緒子取締役副社長は減俸10%、猪木康正常務取締役(オペレーション本部長)は減俸10%、それぞれ1カ月実施する。
同社は、「本勧告を受け、ご利用いただく多くのお客様をはじめ、関係する皆様に多大なるご迷惑とご心配をおかけしたことにつきまして、深くお詫び申し上げます。今後、改善措置の徹底に加え、役職員一同で輸送の責任主体としての意識の再徹底を図り、当社主導により関係各社と連携し、的確な旅客誘導のもと安全な運航・運送を行ってまいります」とコメントしている。