2020年に開催予定の東京オリンピック・パラリンピックに向け、各種施設の建設が進んでいる。それらの現場では数多くの建設機械が活躍しているが、過酷な環境でその力を発揮し続けるための機械の維持管理には、ICTの活用が欠かせないものとなっている。

日本国内でCatブランドの建設機械およびエンジンの販売・サービスを行う日本キャタピラー。同社が運営するアジア最大規模の建設機械総合研修センター「秩父ビジターセンター」(埼玉県秩父市)には、機械に関するさまざまなデータを収集・集約し一元的に管理する「コンディションモニタリングセンター」が併設されている。今回は、最近の建設機械のIT活用事情に加え、同センターにおける「機械管理」の実態をレポートする。

トータルシステム「Cat Connect Solutions」とは

同社は、ICT技術で「現場を見える化」し改善につなげるソリューション「Cat Connect Solutions」の提供を2016年にスタートした。これは「機械管理」「生産管理」「施工管理」「安全管理」という観点から、土木工事全般をトータルで管理し現場の業務改善を実現するサービス。

テレマティクスを使い、機械や現場などからデータを取得しそれを一元管理することで、生産効率の最大化、コストの削減、安全性の向上など、ビジネスの成功に必要なオプションを提供するものだ。また、国土交通省が推進する「i-Construction」にも対応する。

機械管理は、機械に設置されたコンピュータよりデータを取得し、さまざまな機械情報を総合的に判断した上で、故障の兆候を把握することで未然に改善のアドバイスを行う。

機械管理の概要

生産管理は、積載量や燃料消費量、稼働時間などのデータの中から、機械の効率的なマッチング(例:積み込み機と運搬機のマッチングなど)や、現場全体の効率性を確認することで、最適な機械構成を提案できる。

生産管理の概要

施工管理では、遠隔地からでも施工の様子や進捗状況などをタイムリーに確認することができ、施工の大幅な効率化が可能。また、現場のデータとICT建機を連携させることで高精度な施工が可能となり、作業時間の短縮や安全性向上につながる。

施工管理の概要

安全管理は、危険エリアへの侵入時やシートベルトの未着用時、建設機械に人が近付いた際に警告を発することで安全性を向上する。機械がいつ、どこで、どのような状況で稼働していたのかを確認し、ハザードマップを作成して未然に事故を防止したり、現場に改善の提案をすることも可能だ。

安全管理の概要