AMDは7月26日(米国時間)、同社のグラフィックスドライバスイート「Radeon Software」の最新バージョン「Radeon Software Crimson ReLive Edition 17.7.2」を発表した。
Radeon Software Crimson ReLive Editionは、2016年12月に発表されたドライバスイート。最新バージョンでは、性能改善やバグフィックスに加えて、画面の録画機能「ReLive」や省電力機能「Radeon Chill」の機能拡張など大きな変更が加えられている。
2017年のRadeon Softwareでは、性能の改善だけではなく、ユーザーが操作をしてからゲーム画面に出力されるまでの遅延を削減することに注力しているという。いくつかのゲームで効果がみられ、特に「Tom Clancy's The Division」では、31%の応答性向上を実現したという。
ゲーム配信機能「Radeon ReLive」の機能強化
「Radeon Software Crimson ReLive Edition 17.7.2」における変更点として、まず挙げられるのはゲームなどの画面を録画・配信する「Radeon ReLive」の強化だ。録画時のビットレートを従来の50Mbpsから100Mbpsとすることで高画質化した。また、ゲームのプレイ動画をリアルタイムで配信する際に、プレイヤーの表情など映すカメラの映像に対して、透過率を設定できる。
AMDは高画質化やカメラの設定が加わっても、ゲームに与える影響は従来よりも低くできると説明する。例えばCall of Duty: Infinite Warfareの場合、前世代のRadeon Software Crimson ReLive Edition 17.7.1で、Radeon ReLiveを有効にするとオーバヘッドによるフレームレートが6.3fps低下していたが、17.7.2では4.2fpsまで軽減されるという。
また配信時のサウンド設定を追加。マイクの音量コントロールに加えて、音量を上げる「Audio volume boost」、マウスやキーボードのボタンを押しているときのみマイクの入力が可能になる「push-to-talk」をサポートする。
省電力機能「Radeon Chill」がDX12やVulcanをサポート
ゲーム中の消費電力を削減する「Radeon Chill」も機能が拡張されている。「Radeon Chill」は、ユーザーのレスポンスが必要となるシーンではフレームレートを高くするが、マウス操作なしで勝手に動いていくようなシーンではフレームレートを落とすことで、省電力化を図るという機能だ。
従来はDirect X 11/9のみのサポートで、対応タイトルは17にとどまっていたが、17.7.2ではDirectX 12およびVulkanをサポートすることで、対応タイトルは30を超えた。
さらにマルチGPU、外付けGPUボックス、ノートPCでも「Radeon Chill」をサポートし、利用できる環境が広がった。AMDは2017年後半にZenコア+Vega GPUのノートPC向けAPU「Ryzen Mobile」の投入を予定しているが、こうしたプロセッサでも「Radeon Chill」が使えるとなれば、駆動時間の向上が期待できるだろう。
また、任意のフレームレートを設定し、それを超えないようにすることで電力消費を抑える「Frame Rate Target Control」も新たにDirect X 12に対応した。このほか、電力周りの機能として「WattMan」にメモリのクロック制御やGPUへ供給する電力のコントロールといった項目が新たに追加された。
ディスプレイ表示技術「Enhanced Sync」を追加
ディスプレイ向けの機能として「Enhanced Sync」が新たに追加された。通常、VSyncを有効にした場合、ティアリングは最小限に抑えられるが、遅延が発生。一方、VSyncを無効にした場合、遅延は押さえられるがティアリングが頻発する。
Enhanced Syncは、垂直同期(VSync)が無効の状態でも操作時の低減しつつ、ティアリングや表示のカク付きを抑えるものであるという。AMDは詳しい実装方法を示していないが、同様の効果を狙ったNVIDIAの「Fast Sync」では3州類のバッファを用意することで、これを実現している。
なお、AMDはディスプレイ表示技術として「FreeSYNC」を提供している。AMDはFreeSYNCがベストなソリューションとしながらも、Enhanced Syncはどのディスプレイでも利用できる点がメリットだという。