世界中が5G(第5世代移動通信システム)に夢中になっています。今や、どこへ出かけても、誰と話しても、最新テクノロジと言えば5Gの話題で持ちきりです。先ごろ開催されたモバイルワールドコングレス(MWC)2017では、5Gの時代がすでに到来していると語られましたが、そのように言うにはまだ早いかもしれません。ただ、私たちはとても近いところまで来ています。
2016年は無線通信業界にとって目まぐるしい1年でした。標準化プロセスが進展し、新たに提案されたミリ波(mmWave)周波数チャンネルや5Gへの導入に向けた候補技術について理解を深めるのに役立つ最新情報が標準化団体からもたらされるなど、5Gへの期待はかつてないほど高まっています。この1年の成果は5Gにどのような影響を与えるのでしょうか。そして、5Gはいつ実用化されるのでしょうか。
5Gの周波数:ミリ波とサブ6GHz帯の組み合わせ
5Gについてはまだ議論すべき点が多く残っていますが、1つだけ確かなことは、サブ6GHz(6GHz未満)帯のスペクトルが依然として非常に重要であること、また、サブ6 GHzの技術を補うためにミリ波の周波数帯が活用されるという点です。
図1は、5Gに期待されるユースケースを示しています。高信頼通信から、モバイルブロードバンド、IoTのマシンツーマシン(M2M)通信を志向した狭低帯通信まで、さまざまなユースケースを5Gで網羅しようとしています。1つの周波数帯でこれらのニーズを満たすことは不可能ではありませんが、簡単でもありません。しかし、サブ6GHz帯とミリ波帯という2つの周波数帯を組み合わせることで、相互に補完し合えるようになります。サブ6GHz帯のスペクトルは狭帯域通信や4G以前の通信方式との後方互換性に優れていますが、ミリ波帯の広大な周波数資源は、5Gが目指すモバイルブロードバンドの実現に役立ちます。
タイムライン
国際電気通信連合(ITU)は、5Gの実現に向けてサブ40GHzのフェーズ1とサブ100GHzのフェーズ2という2つの調査フェーズを定めています。フェーズ1は3GPPのRelease 15に対応し、2018年6月に標準化が完了する予定です。フェーズ2はRelease 16に対応し、2019年12月に完了する予定です。図2は、2016年秋のITUおよび3GPPのタイムラインを示しています。
図2. 5G実現のためのITUおよび3GPPのタイムライン (出典:Frank Rayal) |
ITUが提案した期日と使用される周波数は、確定ではありません。2017年3月に開催された3GPP RAN全体会合(#75)では、図3に示すように、5Gの新しい無線方式(NR)のリリーススケジュールの前倒しとともに、今後の進め方(WF)が提示されました。
NTTドコモは、前回のRAN4会合(#82)のWFにおいて、どの周波数帯を使用すべきかを提案しました。表1は、周波数範囲とそれに対応する電気通信事業者をまとめたものです。